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村山由佳    「嘘 LOVE LIES」(新潮文庫)

 直木賞を獲得した馳星周が、軽井沢の別荘が互いに近く交流のあるということで、村山さんが馳に解説を依頼している。

 この作品は今までの村山さんにはあり得ないノアール小説。だからどうだという馳への挑戦の思いで馳に解説を依頼したのだろう。しかし解説は馳は本当に作品を読んだのだろうかと疑いたくなるような気がない解説だった。

 物語は友達同士、刀根秀俊、桐原美月、中村陽菜乃、正木亨介の中学時代から始まる。

この中学生が、全く中学生らしくなく、高校高学年か、大学生のような会話と行動。全く実感がわかないままだらだらと続く。作品は600ページを超える大長編。このままの雰囲気で続くのかと思っていたら、陽菜乃が買い物途中で、やくざ風の2人の男に車に引き入れられ強姦される。この場面の描写がやたらリアル。ここで、これは本当に村山由佳の作品だと完全に引き込まれ、そのまま最後まで一気読み。

 もちろん村山得意のラブシーン場面もあるが、殺人シーンもありそれも臨場感溢れる描写。特に、この物語で、最も重要な場面。主人公秀俊が、やくざの九十九によって育てられ、そのつながりで秀俊が九十九に犯人を探し出す依頼をし、2人組の犯人を九十九が連れてきて、秀俊が犯人を九十九にそそのかされ、殴り殺してしまうシーン。しかもそこには、レイプされた陽菜乃もいる。ここは本当にドキドキした。

 このことが、30歳を過ぎた4人の人生に影を落とし、更に事件が起きる。テーマは愛や友情に包まれているが、今にも爆発しそうな憤りだ。

 その憤りとは何で、どう対応すべきか、村山さんの言葉が印象に残る。

「憤りという感情は、全身にナイフの生えた異形の生き物だ。そのまま抱きかかえているにはあまりにも辛くて、鋭い切っ先を一本ずつ撫で付け、なだめすかし、せめて哀しみという名の比較的おとなしい生き物に変化させることでどうにか飼いならす。」

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| 日記 | 06:27 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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