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横山秀夫    「64」(上)(文春文庫)

 この作品の感想、書評は下巻を読み終わってから記す。

主人公はD県警広報官の三上義信。
各県警にはマスコミが常駐する記者クラブがある。毎日の定例記者会見や事件があったときに緊急の記者会見を開くためのクラブである

 ある主婦がわき見運転をしていて、道路を横断した老人をはねてしまう。老人はケガをおい、病院に搬送。この交通事故の警察からの記者発表。被害者の老人は実名で発表されたが、加害者の婦人は妊娠中ということを理由に実名が発表されなかった。
 これに記者クラブは警察にかみつく。どんなに記者クラブが問い詰めても、妊婦ということを一点張りにして、実名を公表しない。これにより、広報室と記者クラブの関係は最悪になり、記者クラブは県警本部長に抗議文をだすところまで行きつく。

 少し違和感がある。正直地方版に載せるかどうかの記事である。読者の殆どは目を通さないか、読んでも記憶に残らないほどの記事になるだけ。こんな交通事故について、記者クラブと警察がのっぴきならないほどの対立状態になるのだろうか。こんなことに、実名を知ってその後真剣に事故の後追いをするのだろうか。

 他の警察小説でも、大きな都府県の警察本部の幹部は警察庁から派遣されるキャリア幹部がしめているようになっている。国の組織である警察庁が、その権力と統制をコントロールしたいからとこの小説では書かれれている。

 小説の舞台であるD県警本部も本部長以下、刑事部長以外の部長はすべて警察庁からの出向キャリアで占められている。しかし刑事部だけは、D県地方採用のノンキャリアの警官が占めていて、キャリアがついていない。

 各県警では刑事部長だけは警察庁キャリアにはとられないようにする。事件捜査は地方採用の多くの警察官刑事たちによって行われる。地方のことをよく知り、人間関係も築いている地方の人間が捜査に当たらないと事件は解決しない。だから刑事部トップは地方出身の刑事がつかないとならない。そしてノンキャリアの警官は、定年退職の時刑事部長になっていることを目標にして日々の活動をする。

 この物語では、刑事部長を警察庁と県警本部どちらがつくか争いをする物語にもなっている。

 この中央からやってくる県警幹部について、この作品は次のように書く。
「地方警察は在任中の県警幹部に機嫌よくいてもらうことに汲々とする。幹部の部屋は無菌状態に保ち、地方警察の実情も悩みも知らせることなくサロン的な日々を過ごさせ、企業や団体からかき集めた高額の餞別を懐に押し込んで東京に送りかえす。」
 これが実態なんだろう。ため息がでる。

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| 古本読書日記 | 06:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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