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今邑彩   「少女Aの殺人」(中公文庫)

 人気ラジオ番組「ミッドナイトジャパン」に私立F女学院高校一年の女生徒Aより投書が届く。内容は「毎晩養父が彼女の部屋に忍び込み、Aを犯す。それに耐えられない。死んでしまいたい。助けて」。普通ラジオ番組でこんな酷く重い内容の投書は読まないものだが、DJの新谷可南はこの投書を読む。

 更に可南はF女学院というのは芙蓉女学院高等部のことではないかと思い、その高校で化学の教師として働いている高校同級生だった脇坂に養父と2人で暮らしている一年の生徒は誰かを調べさせる。その生徒と可南は会って相談にのってやりたいからと。

 脇坂が別の先生の協力を得て調べると該当の生徒は3人。
高杉いずみ、養父は芙蓉学院高等部で物理の教師。松野愛 養父は開業医。諏訪順子、養父はこの物語で起こる事件を捜査する刑事。

 この物語には太字で、少女が養父を殺害する場面がさしはさまれる。そして、それは高杉いずみが養父に対する殺害のように描写される。

 よくミステリーでは、字体を変えたり、太字にして犯人の告白のようにみせる作品がある。
そして、当たり前だが、それはひとつの叙述トリックであり、犯人は別の人間になる。

 この作品も当然犯人は本命と思われる人間と違う人間になる。
その犯人も、読むうちに薄々誰なのかが、わかってくる。
 結果は想定されるのだが、結果にもってゆく構成、文章力が見事で、作品にどんどん引き込まれる。

 今邑マジックに完全にとりこまれ、内容はわかっていても、読後感は爽やか。

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| 古本読書日記 | 06:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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