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長岡弘樹     「赤い刻印」(双葉文庫)

 ミステリー短編集。不思議なミステリー集だ。普通は事件が起きて、それを捜索する刑事や探偵などが登場して、真相、犯人をつきとめるというのになるのだが、この短編集は、事件が起きるが、真相は、事件とかかわりなさそうな出来事が起こり、それが最後真相に至るという独特な雰囲気の短編が収録されている。

 本のタイトルにもなっている「赤い刻印」もおもしろいが私には「サンクスレター」が印象に残った。

 手品にフォーシングという古典的な術があるそうだ。私は手品にあまり親しみがあるわけではないので、この作品を読んだだけではわからないが、客が特定のカードを選ぶ。カードを半分にして、どちら側に客が選んだカードが存在するか、手品師は間違いなく当てる。
半分にしたカードを更に半分にして、それもどちら側にあるか当て、最後は2枚になる。そしてそれもピタっとあてる手品である。

 この物語では、葛木という小児科医の小学生の息子が校舎から飛び降りて自殺する。父親である葛木は学校の対応を責めるが、学校は非はないと突っぱねる。

 怒った葛木はスタンガンを持ってクラスの生徒を人質にして教室に立てこもる。しかし、葛木も疲れてくる。クラス全員人質は維持が難しくなる。そこで一人を選び、その生徒を人質にしようとする。ここで担任が、生徒のネームカードを使い、フォージングをする。

 そして病弱な芳也が人質となる。

 物語の冒頭で、葛木の息子が亡くなり、葬式が行われる。息子の体重は35KG。火葬場で遺体を焼く前に、遺体の入った棺桶の重さをはかり、棺桶の重さを引くと、35KG。

 棺桶には遺品や花が詰められているのに35KGでは、詰められた物の重さはどこへ消えてしまったのか。

 そんな問いかけがあり、その瞬間葛木医師は、人質を解放して投降する。
実は息子の遺体から、臓器を取り出して、人質の芳也に移植がなされていて、それにより芳也は死から免れていた。芳也の体には息子がいると悟った葛木は息子は殺せないと投降したのだ。
 上手いなあ長岡の物語つくりは。

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| 古本読書日記 | 07:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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