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久坂部羊、中村仁一   「思い通りの死に方」(幻冬舎新書)

 私は今年70歳になる。最近歩くのに少し左足に違和感があったり、以前は簡単に持ち上げれたものが、漬物石のように重く感じられるようになった。運動もこれっとしたものはしていないし、これはまずいと思い、CMにつられて、グルコサミン、ヒアルロンサン成分の健康補助剤を飲み始めた。これで少しは改善されるかと思ったのだがそんな兆候は全くない。それで痛感した。これはまさに老化だと。補助剤は現状維持は多少長くできても、以前の体をとりもどすことはできない。これからの体の不調は、病気によって起こることはあまりなく、殆どが老化により起こるのだ。

 老化を病院に行って、治療をお願いしても無理。しかし、老人は病院にあふれかえっている。

 紹介した本は老いるということを受け入れ、これからの生き方、老い方、逝き方を現役医師が語り合った対談集。

 中村は、60歳を過ぎたら、自分の死を考える具体的行動として「遺影を撮る」「遺言をしたためる」など15項目をあげる。

 その中に「棺桶にはいってみる。」という項目があり、これが一番おすすめと言っている。
中村は、70歳になったとき、記念に棺桶を入手した。段ボール製の「エコクラフィン」という組み立て式棺桶だ。強化ダンボール製なので、普通の段ボールのように柔らかくない。木のような固さ。実際に中へ入ってみると人生観が変わると言う。寝返りも打てない空間に、最後は裸に薄物一枚まとっただけで閉じ込められるんだから。

「金も名誉も地位も墓までは持ってゆけない。」このことを心底実感する。むなしく感じる人もいるかもしれないが、物事への執着心は無くなる。この「棺桶体験」を繰り返せば、いよいよ最後の時もじたばたすることはなく、「自分の人生もそれなりに良かった」と思い満足して死んでゆけるようになる。

 棺桶に繰り返し入るのか。死への道もそれなりに極めるのも少し大変だ。

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