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久坂部羊    「医療幻想」(ちくま新書)

 日本の医療では、皆保険制度により、医療費が比較的安く抑えられている。それでは病院の収入や儲けが少なくなるので、病院や医師会では、患者をたくさんあつめ、病人にしたて、フル回転状態にさせようとする。

 病人をたくさん生ませるための入り口が検査である。

検査の正常値の値をせばめるのである。昔は高血圧の値は160以上だったが、今は130以上になった。この数値を決める委員9人には、製薬会社から8億2千万円の寄付がなされている。医者と製薬会社が協力して患者製造をしているのである。

 この正常値は不思議に感じる。当然、年齢により、正常値が変化すべきと思われるのだが、すべて若者を基準で正常値が決められる。だから当然高齢の人たちの病人が増える。

 それから日本人の検査好きの象徴が人間ドックである。たくさんの検査項目があるため、検査にひっかからない人は7.8%しかいず、これも病人を作っている。

 久坂部がかって駐在していたサウジアラビアで知り合いが人間ドックを受けたいというので、ある病院を紹介した。担当の医師が人間ドックなど無いと言う。そこで、人間ドックで検査する項目をあげ、これらの検査をしたいと言ったところ、医師が「君はどこが悪いんだ?」
と聞く。「どこも悪くない」と答えると、「家に帰りなさい」と医師に言われたそうだ。

 それから最近は病気をやたら増やす。特に精神科が顕著。
昔は精神科の病気は4つしかなかった。統合失調症、躁鬱病、てんかん、神経症である。

今は、不安障害、パニック障害、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、心気症、転換性障害、解離性健忘、解離性遁走、解離性障害、離人性障害、解離性性同一障害、気分障害、気分変調性障害、大うつ病性障害など。

 これでは、すべての人がどれかの病気になってしまう。

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| 古本読書日記 | 06:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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