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久坂部羊    「第五番無痛Ⅱ」(幻冬舎文庫)

 タイトルにある第5番はベートーヴェン作曲交響曲第5番を指していると同時に「エボラ出血熱」から始まり「エイズ」、「狂牛病」「SARS」の次の五番目のウィルス感染症、今でいえば新型コロナウィルス、物語でいえばエイズウィルスから変異した「新型ガボジ肉腫」を表している。

 この物語で驚いたのが、WHOの年間使う金額は、国連の2倍あること。半分は各加盟国の拠出金によるものだが、残りは寄付によるもの。寄付は製薬メーカーや医療機器製造メーカー。アメリカがWHO脱退しても、その埋め合わせは自国開発のコロナワクチンを世界に広める先導役にWHOになってもらおうと目論む中国や、その他の民間会社の寄付により実現している。

 だからWHOというのは、医薬品メーカーや医療器械メーカーの代弁者として活動する。

物語は日本で、エイズに酷似する新型ウィルス感染が発生。ウィルスは骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず日本は恐慌状態に陥る。このウィルスが「新型カボジ肉腫」と命名される。

 創陵大学の医学部准教授の菅井は「新型カボジ肉腫」治療の権威になったが、薬事や、肉腫切除などの治療法を試したが、いずれも失敗し患者は死んでしまう。途方にくれていたら、WHOの伝染病対策部のコワルスキー部長より手紙が届く。
「高活性化したNK細胞による免疫細胞療法が有効ですよ。」と。 

その直後に菅井准教授自身が「新型カボジ肉腫」に感染する。早速エアメールの示唆による
免疫細胞活性療法を試みるが、免疫細胞ができるまで日数がかかりすぎ、その間に肉腫が転移してしまい、治癒することができずに菅井は死んでしまう。

 今のコロナ感染もそうだが、感染症にかかった人が全員死ぬわけではない。むしろ、肺炎などで死ぬ人のほうが圧倒的に多い。「新型カボジ肉腫」は治療をすればするほど転移や強力な変異種に転換。治療をしないほうがよい肉腫だと物語では言う。日本は治療全能主義だとWHOは揶揄する。

 しかし、「新型カボジ肉腫」はWHOとその協力団体メディカーサが作成し日本に送り込んだものだった。恐ろしい。中国武漢ウィルスも中国起源ではなく、アメリカからの冷凍食品から発生していると中国は主張している。この物語でもウィルスの発生元は輸入ヨーグルトからだった。こんなことが、グローバル医療機器メーカー企業とWHOが協力しておこなったらとんでもないことになる。

 再度言う。WHOの活動は医薬品、医療機器メーカーの莫大な寄付により成り立っていて、WHOはその代弁者となっている。これが実態だと恐ろしいことだ。

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| 古本読書日記 | 06:40 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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