久坂部羊 「糾弾まず石を投げよ」(朝日文庫)
最近は医療問題を取り上げたミステリーが花盛りである。現役の医者が小説にするから、その描写は迫真にせまり、たくさんの読者をつかんで離さない。その中でも特にテーマにしばしばあがるのが医療過誤。
医療過誤には3つのタイプがある。
①明らかに医療過誤がわかる場合。輸血や薬剤の投与ミス。
②手術を行った当事者全員が医療過誤が起こったことが認識しているケース。
③執刀医だけが、ミスしてしまったことを認識しているケース
このうち①は、最近では隠し通せず、表面化する場合が多い。しかし②は病院にかん口令が敷かれ表にでることは少ない。③は全く表面にでてこない。
この物語は、驚くことに胃がんで入院した患者が手術後亡くなる。この手術をした執刀医三木が、自らの手術に過誤があり、それにより患者は亡くなったと患者の家族に申し出、しかも個人的に慰謝料を払うことから始まる。
こんなことは考えられないこと。このことがなぜ執刀医により行われたのか。その疑問を医療ジャーナリストの主人公菊川が追及する。
医療過誤は、それにより患者が死亡するが、病院はそのことを隠そうとするし、医師は絶対に過誤を認めようとしない。だから通常ミステリーは病院、医師を悪の代表として描かれる。
そして、決まった筋書きに従わない人物は、非常識、変人として描かれる。だから、三木は大変人となる。
しかし作者久坂部は、この大変人三木の想いを深く、広く追及。そして、その変人のすばらしさを最後にカミング アウトさせる。
私を含めた多くの読者はその姿に驚愕し、感動する。
本当に人間は一様ではなく、十人十色。本当に偉人というのはすごいと心底思わせる素晴らしい物語だった。
ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
<
医療過誤には3つのタイプがある。
①明らかに医療過誤がわかる場合。輸血や薬剤の投与ミス。
②手術を行った当事者全員が医療過誤が起こったことが認識しているケース。
③執刀医だけが、ミスしてしまったことを認識しているケース
このうち①は、最近では隠し通せず、表面化する場合が多い。しかし②は病院にかん口令が敷かれ表にでることは少ない。③は全く表面にでてこない。
この物語は、驚くことに胃がんで入院した患者が手術後亡くなる。この手術をした執刀医三木が、自らの手術に過誤があり、それにより患者は亡くなったと患者の家族に申し出、しかも個人的に慰謝料を払うことから始まる。
こんなことは考えられないこと。このことがなぜ執刀医により行われたのか。その疑問を医療ジャーナリストの主人公菊川が追及する。
医療過誤は、それにより患者が死亡するが、病院はそのことを隠そうとするし、医師は絶対に過誤を認めようとしない。だから通常ミステリーは病院、医師を悪の代表として描かれる。
そして、決まった筋書きに従わない人物は、非常識、変人として描かれる。だから、三木は大変人となる。
しかし作者久坂部は、この大変人三木の想いを深く、広く追及。そして、その変人のすばらしさを最後にカミング アウトさせる。
私を含めた多くの読者はその姿に驚愕し、感動する。
本当に人間は一様ではなく、十人十色。本当に偉人というのはすごいと心底思わせる素晴らしい物語だった。
ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。

| 古本読書日記 | 06:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑