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木皿泉、山田あかね  「すいか2」(河出文庫)

 向田邦子賞受賞ドラマ脚本完結編。

 4人の個性的未婚女性が暮らす下宿ハピネス三茶。大学教授や売れない漫画家なんかが住んでいる。
 この下宿が昔のホームドラマの家庭になっている。この家庭は、誰もが生きてゆくよりどころになっている。

 この作品のような守るべき家族、生きてゆく基点を壊さないということが以前のホームドラマの約束になっていたのだが、今のドラマハは反対に、破壊することに笑いや驚きを求めるようになっている印象を受ける。

 このドラマ、日本テレビでドラマ化され放映されたようだが、あまり反響はなかったのではと想像できる。かおりが古すぎるから。

 それでも、場面が下宿を離れると、少し自由な会話になる。
 病気で入院した梅子が、同じ病室の川村さんと会話する。

 「人間は木星があるから生きていられるのよ。木星って大きいのよ。だから外からくる隕石を吸収するわけ。この木星がなかったら、地球に隕石がバンバン落ちてきて、生命が人間に進化することができなかったの。」
「つまり木星は地球のお母さんみたいなもの?」
「うまいことを言うねえ。木星がなけりゃあ、生きてられなかったくせに、誰も感謝しないんだから。」
「木星って寂しい星なんですね。」
「木星はね。もうちょっと温度が高かったら、太陽にもなれたんだよね。」
「ガスでできているから、太陽が2つになって、とっても熱くなり、地球では誰もすめなくなっちゃってたの。それで、飛んでくる隕石まで受け止めて。」
「そうですか偉いんですね、木星って。」
「そうですよ。涙がでるくらい健気な星よ。」

 面白い。しかしどこかやっぱし古臭い。

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