中山七里 「月光のスティグマ」(新潮文庫)
スティグマとは、社会の多数者が少数者におしつけた否定的な刻印のこと。人種、国籍、病気、肉体的、精神的障害、癖、趣味などがそれの理由になり、浴びせかけられる汚名、恥辱、不名誉がそれにあたる。
一方スティグマには、アッシジの聖フランチェスコの体に磔刑にされたイエスキリストと同じ場所に傷があらわれたという意味もあり、スティグマには聖と賤の両方の意味がある。
物語にはこのスティグマの2つの意味が折り重なるように立ち現われる。
それにしても、中山の物語の構想は本当にダイナミックだ。
2人の一卵性の双子の姉妹と隣家で仲の良い主人公が、阪神淡路大震災、東日本大震災を経て、最後はアルカイダによってアルジェリアの日本大使館の人質となり、そこでの救出劇まで物語が発展してゆく。
この物語、権力が裏金作りのために世界の貧困子供を掬おうとする基金をつくる。この団体に企業や、多くの善意の人々が寄付金を提供する。しかし、このお金は貧困の子供の手には殆ど渡らない。一応貧困地帯の国に団体の現地拠点を設立し、一旦お金はその現地拠点に送金させ、貧困者に渡ったようにみせかける。
現地拠点では、送金されたお金を使い国際金融公社の無記名債券を購入。この債券を日本に郵送したり、誰かに預けて運ばせる。無記名だから、誰が発行した債券かわからない。そして、現金では無いので、日本での通関にもひっかからない。この債券を日本で現金化する。マネーロンダリングの方法だ。
なるほどマネー洗浄はこうやるのか。興味がわく。
貧困の子供を救おうと時々テレビで寄付を募るが、そのお金はちゃんと貧困の子供たちに届いているだろうね。
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ぽちっと応援していただければ幸いです。
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一方スティグマには、アッシジの聖フランチェスコの体に磔刑にされたイエスキリストと同じ場所に傷があらわれたという意味もあり、スティグマには聖と賤の両方の意味がある。
物語にはこのスティグマの2つの意味が折り重なるように立ち現われる。
それにしても、中山の物語の構想は本当にダイナミックだ。
2人の一卵性の双子の姉妹と隣家で仲の良い主人公が、阪神淡路大震災、東日本大震災を経て、最後はアルカイダによってアルジェリアの日本大使館の人質となり、そこでの救出劇まで物語が発展してゆく。
この物語、権力が裏金作りのために世界の貧困子供を掬おうとする基金をつくる。この団体に企業や、多くの善意の人々が寄付金を提供する。しかし、このお金は貧困の子供の手には殆ど渡らない。一応貧困地帯の国に団体の現地拠点を設立し、一旦お金はその現地拠点に送金させ、貧困者に渡ったようにみせかける。
現地拠点では、送金されたお金を使い国際金融公社の無記名債券を購入。この債券を日本に郵送したり、誰かに預けて運ばせる。無記名だから、誰が発行した債券かわからない。そして、現金では無いので、日本での通関にもひっかからない。この債券を日本で現金化する。マネーロンダリングの方法だ。
なるほどマネー洗浄はこうやるのか。興味がわく。
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| 古本読書日記 | 05:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑