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久坂部羊    「院長選挙」(幻冬舎文庫)

 国立大学の最高峰、天都大学医学部の病院長が謎の死を遂げた。自殺、他殺両方がささやかれるなか、次期院長選挙が行われようとしていた。候補は4人。
心臓内科医の権威、徳富。外科のリーダー大小路、収益の4割を稼ぎ出す眼科の百目鬼、改革派の整形外科鴨下

 しかしこの4人はそれぞれ大きな欠陥、弱点を持っていた。

徳富は論文を盗用したり、データを捏造する。大小路は女性とみれば誰にでも手をだす、セクハラの常習者。百目鬼は金の亡者。業者にお金を要求したり、生活費を病院につけまわす。鴨下は目下の人間にすぐ怒り、暴力沙汰をたくさん引き起こしている。
 物語はこの4人の選挙経過を描写する。こういう物語で有名なのは「白い巨塔」。久坂部はどろどろした重厚な物語にしないで、病院の人たちの活動を世間話、噂話にして軽いタッチで表現する。

 大病院の薬剤部には大量の薬が保管されている。まぎらわしい名前の薬もたくさんある。

糖尿病薬アマリール、降圧剤アルマール、ステロイド剤サクシゾン、筋弛緩剤サクシン、抗生物質アモリン 睡眠薬アモバンなど、効能が異なっていて、似た名前の薬が溢れている。製薬会社が売れそうな名前をつけようとするので、こんな状況になってしまう。
 だから医師もまちがう。しかし、医師はプライドの塊。ミスを認めようとしない。

薬剤師が間違っていますと指摘すると、
「わかった上でだしてるんだよ。」
「それは僕のこだわりだからそのままだして」
「新しい投薬方法を試しているんだよ。」

とんでもないことだ。しかしこの作品を読んでいるとありそうな気になってくるから怖い。

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| 古本読書日記 | 06:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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