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黒木亮     「獅子のごとく」(上)(幻冬舎文庫)

 日本の銀行に勤めていた主人公の逢坂丹が、米国投資銀行に身を転じ、あらゆる手段を用いて社内のライバルを蹴散らし、巨大投資銀行の中でのしあがっていく姿を描く。

 この逢坂には実際のモデルがいる。ゴールドマンサックス日本法人社長の持田昌典である。但し、この作品では持田が勤めている投資会社はエイブラハム・ブラザーズという架空の会社になっている。

 逢坂は大学を卒業後、大手都市銀行東立銀行(第一勧銀と思われる)に入行。逢坂の実家は祖父の時代から貿易会社をやっていて、成功し、都内にビルまで建てる。しかし父の時代に会社の業績は傾き、更に父は愛人を作り、母と離婚をして、実家をでる。母は会社を経営していたが、病で亡くなり、会社は立ち行かなくなり、メイン銀行であった東立銀行から資金を引きあげられ倒産してしまう。この時倒産を主導したのが、東立銀行の檜原。

逢坂の人生の目標はこの檜原を徹底的にうちのめすこととなる。物語は逢坂と檜原の闘争物語でもある。

 檜原は第一勧銀が総会屋小池隆一に脅迫され、多大な融資をしてしまい、倒産危機に瀕したとき、行内で立ち上がった4人組の一人で、その後西武鉄道グループに転出した後藤高志がモデルである。

 アメリカの投資銀行はどこでも同じスタイルで仕事をしているが、そのスタイルに3つの特徴がある。

 一般の見習社員アナリストがいて、その上にアソシエイトがいる。このアソシエイトを5年ほど勤めて出世すればバイスプレジデントとなる。投資会社は100人程度のパートナーがいて資産も利益も彼らに帰属する。パートナーになれば年収4億円程度になり、そのほかに大きな資産を会社から与えられ、だいたい10年ほど勤めて4-500億円の資産を貯め、リタイアして悠々自適の生活に移るのが一般的。バイスプレジデント以下は、2000万円から4000万円の年収がある。

 このパートナーへの昇進は、ボードによる選定ではなく、候補者をパートナーの投票で決める。ある意味公平である。

 また、アソシエイトなどの評価は360度評価をとる。360度評価とは、上司だけでなく部下からの評価もなされ、部下からの評価が悪いと昇進にひびく。

 上司の命令、指示は絶対で、無理難題であっても絶対実行、実現せねばならない。このため徹夜、土日の仕事は当たり前の状態になる。数千万円年収があっても割の合わないということになる。

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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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