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武田綾乃   「石黒くんに春は来ない」(幻冬舎文庫)

 久住京香は学校の女王様。学内に存在する絶対的カースト。その最上位に位置する特別な存在。彼女の周りにはいつも華やかなグループが形成され、そこに属するに値する人間たちが集まってくる。その外側にいるおとなしい生徒たちは教室の隅へとおいやられ、息を殺して彼らの様子をうかがっているしかない。

 主人公の恵、茉希、優菜、花はそんなはじかれた仲良しグループ。

クラスのスキー合宿中に、石黒は、女王京香に恋の告白をする。京香は拒絶。その経過を石黒を強烈にののしりながらラインで告白する。そのラインは石黒も見ているのに。

 石黒はスキー場で行方不明になり、翌日重体になっているところを発見され病院に収容される。石黒が不明になった最後の姿をみていた花は、石黒を呼び止めなかったことで、石黒の重傷の原因は花にあるとラインで責められ、登校拒否になる。

 ラインやネットはそれがフェイクであっても、権力者とその周りの意見が真実で正しいとなる。石黒も花も仲間からラインによりはじかれてしまう。

 ところが、ここから重体で動けないはずの石黒がラインに再登場する。更にタマリンという匿名の存在が京香を攻撃するために、クラスのラインに登場する。

 このタマリンの登場により、京香をあがめるライン仲間に亀裂が生じる。京香の周囲の生徒が一人、二人と段々ラインから退出し、京香は孤立するようになる。

 このタマリンは誰なのか。ライン上の石黒は誰なのか。物語はタマリン、石黒の悪意を持った投稿と重なって、クラスや4人の親友たちの関係が瓦解してゆく。ここが恐い。

 現代の高校生の状態を描いて秀逸な作品だ。

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| 古本読書日記 | 06:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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