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朝倉かすみ   「少女奇譚 あたしたちは無敵」(角川文庫)

 思春期になる前の少女。夢をみたり、不思議な体験を味わってみたかったり、味わったように思いこんだり。もちろん男の子にも同じようなことはあるが、男の子は一人で夢想するのだが、少女たちは何人か同志が集まって、夢や不思議な体験を語り合い、それがどんどん高揚して、実際に体験したような感覚になる。そしてそれを自慢しあう仲間、友達ができる。

 この短編集は、そんな少女たちの不思議な夢想を描く。登場する少女たちの名前も、現実から遊離して、夢に登場する名前、ワーチカとかリリアなど、少女漫画にでてくるような名前で、少女物語の雰囲気を醸しだしている。

本のタイトルにもなっている「あたしたちは無敵」が少女物語の雰囲気がよくでている。

 小学6年生のリリアは、通学途中の工事現場で抜け落ちた「乳歯」を拾う。同じように同級生の朝比奈さんと、関口さんも「乳歯」を拾う。しかも、同じにみえる乳歯が光にかざしてみると、金色、空色、ピンクに異なってみえる。3人は、3つを合わせれば、無敵。どんな怖いものにおそわれても、全部粉砕できると秘密会議をして信じる。そして、その力を試す恐怖にであいたいと毎日思うのだが、「乳歯」の力を試すような出来事は全く起きない。

 そのうちに、朝比奈さんは、乳歯に願うと、いろんなものが透けて見える。黒板を見ていると、黒板が透けて、グランドで遊んでいる生徒が見えるとか、関口さんは重い石灯篭が動いたとか言い出す。リリアは焦る。全く不思議な力を発揮することができない。

 ある日下校途中でおおきな地震がある。その時、3人は思う。とうとう乳歯の力を発揮するときがやってきたと。崩れ落ちた家の前で、乳歯を握りしめ大声でおまじないの声をあげた。しかし、何回も、何回も叫んでも元通りにはならない。

 奇跡の力を持っていると信じていた少女が現実をみる女性に変わる。しかし3人はずっと友達であってほしいと心から願う。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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