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山田宗樹    「黒い春」(幻冬舎文庫)

 まるで今の新型コロナウィルス感染をよんで見越していたかのような作品。

女子高生が不審死をする。遺体は飯守観察医により解剖される。直接の死因とは関連しないが、心臓から10ミクロンもある巨大な黒色胞子が発見される、こんな巨大な胞子はみたことがない。それで、胞子は衛生研究所の真岡に送られ、更に感染症対策センターの三和島が興味を持つ。

 しかし、研究調査をしても感染源の特定はできない。感染ルートもわからない。
そうこうするうちに、大学生が授業中に突然黒い液を口から吹き出し、そのまま死んでしまう。

 調査をすると全国で5月に12件の同じ事例が発生していて、その全員が発症して30分以内で死んでいたことがわかる。ここから、作者山田の突拍子もない発想がとびだす。
12人の死亡者は、全員旅行なので滋賀県を訪れていたことが判明。そのうち2人の死亡者は琵琶湖に浮かぶ小さな沖島という島を訪ねていた。

 それで、対策センターの三和島が沖島に行く。そこには小さな祠があり、そこから1400年前に死んだ人間のミイラを見つける。ミイラが入っていた石棺の蓋を工事人が明けた。

 三和島は、ミイラ自体が黒色胞子病になっていたのではと類推する。1400年前は遣隋使の時代。小野妹子が髄から戻ってきたとき、随員は13名だったが、1人足りない。イタイミイラはこの一人ではないか。と。

 面白いが、このミイラに犠牲者が近付くことは無かったし、そんな伝染病が日本で流行ったという史料もない。
 こんな奇想天外な発想、作者山田はどう落とし前をつけるのだろうと思ったが結局つけることはできなかった。

 この物語、日本全国で12人が亡くなっていることを厚生労働省が発表すべきと飯守らが主張するが、たった12人の死亡でそんなことを発表すれば社会を混乱させてしまうと厚労省は突っぱねる。

 新型コロナ、トランプが中国ウィルスと非難していたが、中国も事態を甘くみていたのだろう。官僚とはそういうものだ。とこの作品で思った。

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| 古本読書日記 | 06:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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