FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

明野照葉   「輪廻」(文春文庫)

 松本清張賞受賞作品。

「累」物語というのがある。顔が醜く足も不自由に生まれたついたひとりの娘が、おまえさえいなければ後添えの生活もうまくいくのにと思いつめた実の母に殺され、その恨みをはらす物語のことをいう。

 明野はこの作品で「累」物語に輪廻を重ねあわせた物語を創造している。

輪廻というのは、恨みで殺された人が、世代を超えてまた登場して恨みをはらす物語のことを言う。

 茨城の旧家に嫁いだ主人公香苗は、徹底的に姑にこきつかわれ、いじめられ、その仕打ちに耐えられず、愛娘の幼子真穂を連れて、母親時枝が住む、新宿大久保のアパートにやってくる。ところが不思議なことに、普通は孫がくれば時枝は真穂を可愛がるものだが、時枝は真穂を嫌う。

 実は時枝は、新潟の旧家に嫁いだのだが、娘香苗同様、姑に虐められ最後思い余って、森を歩いていた姑を川に突き落として殺してしまう。実は姑は、村人全員から嫌われ、村人全員が事故で姑は死んだと主張し、事件にはならずに済んでいた。

 時枝が真穂を嫌ったのは、真穂が姑の生まれ変わりだったから。真穂は、母親香苗がいないと、表情も声も姑となり、時枝をいじめていた。

 ここまでの話はよくある話なのだが、清張賞を受賞した作品。それだけでは終わらない。
何と「累」と輪廻の物語が蜘蛛の巣のように多面状に広がってゆく。
そこが明野さんの非凡なところ。どんどん底なしで恐怖がひろがってゆく。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ<

| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT