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今日の一冊 「霧の旗」松本清張

松本清張 「霧の旗」(新潮文庫)
人間は自らの行動、言葉はほとんどいつも正当で、そのことは他人はわかってくれてるものと思っている。
しかし、相反が埋まらず、言いあうことでさらに乖離が大きくなり、互いの憎悪が増幅されると、どういうことになってしまうか。その終末がこの本では描かれる。清張はこの乖離を描くことがまことにうまい。その会話の際の心の動きなどは迫真もの。
 兄が老婆を殺した罪で一審死刑となる。無罪を信じてる妹が九州から東京にやってきて
超一流で世間でもっとも売れている人権弁護士に兄の弁護を頼む。
 弁護士は今や超一流、そんなしけた弁護なんかできるわけはないし、自分の弁護士料は
超高額でこんなみすぼらしい娘が払えるわけはない。
 一方、娘は人権弁護士として有名で、弱者の味方で評判な弁護士が自分の願いを断るはずがないと確信している。弁護士は柔らかく接しているつもりでも自らの位置が言葉のはしばしにでる。
 「弁護料はあなたは払えない」「私はたくさん案件をかかえ忙しくてとてもあなたの願いはきけれない」とか。
 この乖離がとんでもないことを引き起こす。清張は10で終えておけばと思うところを
それ以上の壮絶な結論を用意している。清張もっとも脂がのりきった時代の作品。
とにかく面白い。

by はなゆめ爺や

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