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江國香織    「いくつもの週末」(集英社文庫)

 江國さんがサラリーマンの夫と結婚したころの夫との生活を描いたエッセイ。

正直、夫婦の生活は、私たち庶民と同じような生活なのだが、江國さんにかかると、夫婦生活が選り抜かれた、生まれたてのような言葉で描かれ、我々とは全く異次元の、憧れの世界のように感じられ、感動とともにため息ばかりがでる。

 冒頭朝の公園の描写がある。
「いちばん気持ちがいいのは朝の公園だ。空気が澄んで、まだ誰も吸っていない酸素にみちている。物の輪郭がくっきりし、世界じゅうがつめたくしめっている。」
見事だ。まさに朝の公園だ。

 家のなかの情景。
テレビの音がしてすごくうるさい。新聞や雑誌、テレビのリモコン、お菓子の袋、爪切りティッシュの箱がそこらじゅうに散らかっている。

夫はその中で眠っている。それで小さな声で耳元で言う。
「もっとボリュウム下げて」リモコンを拾ってボリュウムを下げる。
「新聞は一枚一枚散らかすのはやめて」
「袋菓子の口は輪ゴムかキッチン・クリップでとめておいて。」
まるでブツブツ、ガミガミ女房だ。

そしてひととおり片付けると私は夫の横にくっついて寝そべる。腕をまわしてうしろから抱きしめると、夫は迷惑そうに顔をしかめる。
さびしさだけがいつも新鮮だ。
私は胸のなかで言ってみる。

へえー、江國さんの家でも、普通の家庭と同じで夫とちょっとしたことで、口喧嘩は日常の風景だ。だけど江国さんにかかると、それが幸そうにみえてくる。

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