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小池真理子    「妻の友達」(集英社文庫)

 日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞した表題作をはじめ6編の短編を収録した作品集。

主人公の広中は市役所の戸籍係に勤務。それも出張所。だから本当に暇な職場。5時10分前には帰宅準備をして、5時には役所を出る。
 5年前に志津子と見合い結婚。娘にも恵まれている。

志津子についての広中の評価。
「優しくて気配りのきく家庭的女で、広中の少ない給料をやりくりする能力にもたけており、満点をやってもまだたりない女房だ。」

 控え目で家を守る、理想的なパートナーと思っている。
そんな志津子が、ある日料理教室に通いたいと広中に言う。フランス料理を学んであなたに食べさせてあげたいと。広中は許せない気持ちもあったが、料理教室に通うことぐらい許可してもいいかと思い了承する。

 ある日、多田美雪という女性から妻に電話がある。美雪は妻志津子の高校時代の同級生。
今はジャネット多田という名前で有名な女流評論家になっている。ベストセラー本をたくさん出版して、テレビにもしばしば出演している。

 多田は、広中の家の近くに引っ越してきていた。それで、忙しくて家の仕事ができない。ちゃんとお金は払うから、志津子に家の世話をしてほしいと言う。広中は反対したが、志津子は美雪の依頼に応じると頑なに言う。広中は頑なな志津子の姿勢に驚くがこれも了承する。

 約束は週一回だったが、そのうちに何か起こると約束は無視して美雪を呼びつける。家を空けることも多くなる。それどころか、家の模様替えをするから、家具を運ぶ男手が欲しいと言い、広中まで手伝わさせられる。広中の家は、美雪の下僕のようになる
このままでは、家庭が壊されると広中は追い詰められる。

 それで広中はある夜美雪に呼び出されたとき、美雪の首をしめて殺害する。犯行後、家に帰ると、ジャケットの袖口のボタンがとれて無いのに気付く。家のどこかで無くしたのかもしれないと探すがみつからない。

 警察がやってきて事情聴取をするが聴取は通り一遍の内容でボタンのことは聴取されない。それで殺しの現場には落としていなかったと広中は安心する。

 ある日妻志津子が、彼女の服のポケットから袖口のボタンを広中にみせる。広中の殺害直後、美雪の部屋を訪れ、死体のそばで拾った。それから警察に電話したと。

そして、
「私と離婚してほしい。料理教室の先生を愛している。離婚してくれないなら、このボタンを警察に持ってゆく」と。女性だって、いつも恋をしていたい。広中は完全に志津子に敗北した。女性の底に秘めた執念を表現した、鋭いミステリーだ。

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| 古本読書日記 | 06:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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