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板野博行    「眠れないほどおもしろい やばい文豪」(王様文庫)

 日本の文豪、大作家36人をとりあげ、彼らの生きざまを描写、さらにそれが背景となって、彼らの作品のどこに表現されているかを明らかにしている作品。

 著者の板野さんという人がどんな人なのかよくわからないが、36人の作家の作品や関連資料をよく読んでいて、そうだったのかという部分が多く感心した。

 この作品をガイドブックにしてまた文豪作品を読み直そうかと思うような作品だった。
それにしても、文豪、大作家は社会的破綻者、特に女性関係(男性関係)にルーズだったり、奇人変人だったり、死病に侵され苦しんでいたりする人たちのオンパレード。

 その中で、室生犀星だけがまともな人物。彼の紹介文を読んで、ああ常識人もいるんだとほっと一息ついてしまった。

 何年か前、金沢の室生犀星の記念館を見学に行ったことを思い出す。

犀星は加賀藩の足軽とその女中の間に私生児として生まれる。すぐ近くのお寺室生家に養子として出される。高等小学校を中退して働きにでるが、給料は殆ど養母にすいとられる苦しい生活を強いられた。

 北原白秋の詩集「邪宗門」に触発され、詩人になろうと決意し金沢と東京を往復する。
その中で萩原朔太郎と昵懇になり生涯親友として交友する。

 犀星は他の作家と違い、小学校教師浅川とみ子と結婚し、一生を添い遂げている。
犀星が最晩年に書いた絶筆の詩「老いたるえびのうた」が私は好きだ。

 けふはえびのように悲しい
 角やらひげやら、とげやら一杯生やしているが
 どれが悲しがっているのかわからない。

 ひげにたづねてみれば、おれではないという。
 尖ったとげに効いてみたら、わしでもないという。

 それでは一体誰が悲しがっているのか
 誰に聞いてみてもさっぱりわからない。

 生きてたたみを這うているえせえび一疋。
からだじうが悲しいのだ。

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