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伊集院静    「大人の流儀7 さよならの力」(講談社)

 伊集院には、社会に背を向けて、全国を流浪するニヒルな作家という印象を長い間持っていた。流浪する場所は公営賭博場だ。競輪、競艇、オートレース場。
そこで予想紙を振っている姿ばかりがいつも浮かんでいた。

 この「大人の流儀シリーズ」と最近文庫化された大長編「琥珀の夢」を読んで印象が180度ひっくり返った。

 伊集院は1950年生まれ、団塊の世代だ。団塊の世代というのは、挫折を知らない。挫折を味わってもそれは挫折ではないと認識する。自分の言動は常に正しく、それを内に秘めることはなく、常にしゃべる。そしてそれを相手に強要する。

 伊集院はサントリーが成人の日にだす新聞広告で成人たちにおくるメッセージを寄稿している。退廃の匂いが覆っている伊集院がそんなことをしているとは想像がつかなかった。
 「こころのもちようとは、覚悟だ、決心だ。
  ・・・・・・
  覚悟とは、品性の上にあるんだ。苦しい時、辛い時に、
  その覚悟と、誰かのために生きようとしたことが救ってくれる。
  生きるということは必ず、苦いものと悲しいものをともなう。
  それが人生だ。」

成人に贈る言葉には情熱があふれ、魂を揺さぶる。同じ思いは誰もが思っているが少し青臭くて中々口にできない。伊集院は団塊の世代、胸をはり、堂々と言う。
 
文章家、文人とは何かについての発言も明確で強い。
 「文章は才能で書くものではない。
  文章は腕力で書くものである。腕力とは文字そのまま腕の力である。つまり体力が文章
  を書かせるのである。
  体力の素は、気持ち、気力である。
  気力が続くかぎり、その人の仕事は文章家であり、文人なのだ。」

もう一度、伊集院の作品を読み直したくなる。

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