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筒井康隆    「筒井康隆の文芸時評」(河出文庫)

 筒井流の「感情移入批評」を実践して丁寧に本を読み解き、読んで楽しい、筒井最初で最後の文芸時評。

 今でも同じだと思うが、新聞社の文芸時評は、編集者が新刊書を積み上げ、そこに集まった評者に、一冊ずつ誰にどの本を書評してもらうべきか、評者たちに決めてもらうことによって評者が決まる。

 殆どの評者は評者になるのを多忙などを理由にしていやがり、他人に押し付けるようにする。また村上春樹の新刊があると書評をすることをみんな嫌がる。下手なことを書くと火の粉が自分にかえってくるから。最大限の提灯記事にしなければならない。
総体的に評者は熱心な読者ではない。だいたい決まり文句がある。評者の本音はどこにあるか筒井がこの作品で教えてくれる。

「特に若い人に読んでほしい」-本音「若い者に言いたいことは多いが、言うのは面倒くさいからこれを読め」

「この資質を生かして、これからどんなことを書いてくれるか楽しみ」-本音「まったく未熟であり、今後の方向を示唆してやることすら不可能である」

「わたしもいつか、この地を訪れてみたい」-本音「読者が行きたくなるという、旅行記としては最低レベルには達している」

「・・・と、なかなか手厳しい」-本音「どぎつい。反論したいが書くのが面倒」

「いろいろ意外な発見がある」-本音「自分のような読み飛ばしではなく、じっくり読み込めば何か発見があるかもしれない」

「著者の個性がでていてなかなか面白い」-本音「当たり前のことだが、それ以外に書くことを思いつかない」
 これら以外にも、抱腹絶倒の本音が紹介されている。

これを読むと、書評家は本当に対象本を読んで書評しているのか、首をかしげたくなる。

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| 古本読書日記 | 05:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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