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瀧羽麻子   「いろは匂へど」(幻冬舎文庫)

 デビュー作の「うさぎパン」は高校生の恋、それから京都の大学生の恋や、都会と田舎を対比した恋を経て、この作品では大人の恋を瀧羽は描く。

 京都で小さな和食器店を営んでいる30代半ばの主人公の紫が、普段は出向かない個展のパーティーにゆく。そこでなれなれしい光山に出会う。その光山の印象も悪かったこともあり、紫は途中で帰る。

 この光山は京都では有名な草木染の染匠。
この光山から突然「自分の工房はいつ見に来てくれるのか。」と電話がある。ここからがわからないのだが、パーティでの印象も悪く、20歳も年上、どちらかといえば好みでない光山の工房へ、気乗りはしないのに出かけてゆく。

 しかもその工房には藤代という美人の女性がいる、更に藤代と光山は夫婦ではない。
そして藤代によると、光山の周りには、まだ何人か女性がいるという。

 それなのに、光山に言われ、紫は藤代、店の客であるブライアンと草木染め用の草木狩りに大原まで行く。
 私みたいな一般人には何故、紫が光山の指示に従いいやいやながらでかけるのかがさっぱりわからずもやもや気分で読むのが辛い。

 高校の頃の恋は、かっこいいだけで夢中となったり、大学生の恋は、一緒にいるだけで幸に包まれるというような雰囲気で恋が始まる。

 30代も半ばになれば、学生時代のような雰囲気で恋は始まらない。知識も暮らしも経験も豊富になり、自分にはない相手の知識専門性特殊技術など自分より秀でているものを持つ人にしか惚れない。

 30代の恋として秀でた技術多くの知識が大切、そこを瀧羽さんは全面にだしているのだろう。しかし、それがきちんと描かれないので、鈍感な私にはわからないのが辛かった。

 30代と50代が恋に陥るには、高度な技術深い見識が必要なのだ。

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| 古本読書日記 | 06:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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