佐藤多佳子 「スローモーション」(ピュアフル文庫)
主人公の柿本千佐は女子高の一年生。兄のニイちゃんは、22歳になるのに今だに不良をしている。
千佐は水泳部にはいっている。同じ水泳部に同級生の及川周子がいる。周子はしゃべりを殆どせず、暗く、行動のテンポも遅く、いつも一人弁当でみんなから嫌われている。
千佐はちょっとしたことで、いつも一緒のグループからはじき出され、周子と同じ最下層においやられる。嫌われ者の二人だけで、仕方なく仲間になる。
2人の下校する場面の描写が印象深い。
「彼女のスローモーションに合わせて、ゆっくり動くと、はじめのうちはイライラして脳天からケムを吹きそうになった。三日で少し慣れる。慣れとは怖いもので、廊下をダバダバ走る男の子が暴走車のように見えてくる。スピード違反!エネルギーのロス!・・・
店の看板の文字がひとつひとつくっきりと目につく。街路樹のしけた雑草、キリマンジャロの匂い、道行く人々の会話のかけら、あたしは、黙ったまま、街の一コマ、一コマを体内に吸収する。」
ゆっくりと動くことによってみえてくるものに対する感動にたいする鮮やかな描写。見事!佐藤多佳子。
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千佐は水泳部にはいっている。同じ水泳部に同級生の及川周子がいる。周子はしゃべりを殆どせず、暗く、行動のテンポも遅く、いつも一人弁当でみんなから嫌われている。
千佐はちょっとしたことで、いつも一緒のグループからはじき出され、周子と同じ最下層においやられる。嫌われ者の二人だけで、仕方なく仲間になる。
2人の下校する場面の描写が印象深い。
「彼女のスローモーションに合わせて、ゆっくり動くと、はじめのうちはイライラして脳天からケムを吹きそうになった。三日で少し慣れる。慣れとは怖いもので、廊下をダバダバ走る男の子が暴走車のように見えてくる。スピード違反!エネルギーのロス!・・・
店の看板の文字がひとつひとつくっきりと目につく。街路樹のしけた雑草、キリマンジャロの匂い、道行く人々の会話のかけら、あたしは、黙ったまま、街の一コマ、一コマを体内に吸収する。」
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| 古本読書日記 | 06:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑