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滝羽麻子    「株式会社ネバーラ北関東支社」(幻冬舎文庫)

 主人公の弥生は、外資系証券会社に勤め、最終電車でも帰宅できないほど、過重労働を強いられた日々を送っていた。
 限界を感じた弥生は、会社を退職して、北関東の田舎の納豆製造会社の北関東支社に就職し、ほっこりした環境で働くことを選択する。

「ネバーラ」という会社名がいい。北関東は納豆日本最大の生産地。納豆は、ごはんにすぐかけて食べるものではなく、十分にまぜあわせて、食べる前に歌を歌って、食べるのが一番おいしい食べ方。地域全体がその習慣に従って納豆を味わっている。

 最初の通勤風景がいい。一時間に一本しかないバスに合わせて懸命にバスに乗り込む弥生。同じバスには上司の課長も乗る。そのバスが駅前に止まり、そして丘の上にある支社に向かう。課長は、駅前で「have a nice day」と弥生に言って、降りて丘の上の支社に歩いて向かう。弥生が会社に着くと、課長が疲れ切った様子で。支社に到着してくる。この通勤風景が田舎だなあと思わせる。

 仕事もゆったり、駅前にはやすらぎの場居酒屋「なにわ」がある。いいなあ、田舎はと思う。
 しかし、ゆっくりふりかえると、これは滝羽さんの想像の田舎だと気が付く。

仕事は田舎だから楽ということはあり得ない。どんな会社であれきつい競争のなかにあり、田舎でも激しい労働が求められることが多い。

 東京でも、過労を強いる会社もあるし、ゆるやかな労働環境である会社もある。田舎、東京で労働状況が異なるということは無い。

 それから、本当の田舎には、居酒屋などは殆どないし、バスが一時間単位で運行されているところは無い。バスは殆ど朝晩、加えて昼に一便が田舎の現状の運行状況である。

田舎が特別に素晴らしいところという架空のような場所という描写が受入れられない。

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| 古本読書日記 | 06:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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