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真梨幸子    「カウントダウン」(宝島社文庫)

 主人公の海老名亜希子はお掃除コンシェルジェとして大活躍している人気エッセイスト。
100万部を突破する大ベストセラー作品をいくつも送り出している。高級マンションに2つの住まいを持ち、年収7000万円を稼ぎだす。

 そんな亜希子50歳独身なのだが、末期がんにかかり余命半年を宣言される。ということは、来年の今は無いのである。それで半年の計画を作りそれに従って精一杯生きようとする。

 功成り名を遂げた人が余生が少くなった時、何を思い出すのだろう、多分自分の成功の場面をなつかしく思い出し幸気分」に浸るのだろうと思っていた。
 しかし、この物語では、思い出すのはいやなことばかり。

 小さい時、友達の柳町美樹ちゃんの一家が父親のやっていた会社が倒産して、夜逃げをすることになる。亜希子の父が銀行に勤めていたから、「夜逃げ」「倒産」意味はわからなかったが、それを回りの子に話す。それが原因で美樹ちゃん一家が更に苦しくなったことを後で知る。

 大学を卒業して印刷会社に就職。配属された日の朝、皆に挨拶をする。一緒に入社した平河さんが、他の人は名前とがんばりますだけの挨拶だったが、自分の家は印刷屋をやっていました。輪転機の音を聞きながら臨終をむかえるのが理想です。と見事な挨拶をする。その後の挨拶が亜希子。あせって、意味不明なことを5分もしゃべり、課長の静止の指示でやめ、赤っ恥をかく。

 極めつけは夫が妹と通じていて、妹が夫の子を妊娠する。それを告白され妹をひっぱたく。
こんなことばかりしか思い出さない。

 それから、エッセイストというのは、面白いことを書く。そして、自分が誰よりも才能があると思っている。どしても、出版社の担当者、デパートの外商の女性にたいし、態度が横柄になり、使い走りをやらせる。それで嫌われているということを気付かない。

 更にエッセイは基本自分の体験や、他人から仕入れたことを書く。それが仮名であっても読めば知っている人は誰のことかわかる。天狗になっているから、それがエッセイにでてくる人を傷付けていることがわからない。

 死ぬときになって、初めて自分の傲慢さに氣付き、悶え苦しむ。人間は切なく悲しい。
 こんなことが重ねあわされて、真梨特異なイヤミスが展開される。

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| 古本読書日記 | 05:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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