真山仁 「ベイジン」(下)(幻冬舎文庫)
私の会社時代に部下の一人がタイの工場に転勤になった。非常にまじめで仕事に厳しい人だった。
彼がある日部下が仕事中にイヤホンで音楽を聴いていることに気付いた。それでみんなの前で、強く叱責した。部下はうらみがましい目で彼を見つめたが音楽を聴くことはやめた。
次の日、彼の部下全員が、イヤホンで音楽を彼の前で聞き出した。
この物語でも、建設現場の労働者が、建設会社の属する企業集団の会社から支給されたラジオで音楽を聴きながら、仕事をしだす。当然ラジオの持ち込みは禁止。技術顧問の田島は工場のゲートの警備員に何故検査をしないのか怒る。
警備員は検査などしない。何しろずっとトランプをしているのだから。
このラジオが発火して、発電所の火災がおきる。そしてメルトダウン級の大惨事となる。
田嶋が何とか被害をすこしでも食い止めようと必死の対策をとっている最中。
中国の建設責任者が言う。
「田嶋さんご苦労様。でも、これはチャンスだ。この惨事の責任はすべて趙大連市長にあることにしよう。田嶋さんもそう主張してくれ。」
原発事故大火災がおきている時にまで、出世の道を切り開こうとする。タメ息がでる場面だ。
この作品は、中国と日本を細部にわたるまでその違いを見事に描いている。大作である。
読めば読むほど、中国と日本は友好的に信頼しあって交わることは決してないだろうとの思いが強くなる。
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彼がある日部下が仕事中にイヤホンで音楽を聴いていることに気付いた。それでみんなの前で、強く叱責した。部下はうらみがましい目で彼を見つめたが音楽を聴くことはやめた。
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この物語でも、建設現場の労働者が、建設会社の属する企業集団の会社から支給されたラジオで音楽を聴きながら、仕事をしだす。当然ラジオの持ち込みは禁止。技術顧問の田島は工場のゲートの警備員に何故検査をしないのか怒る。
警備員は検査などしない。何しろずっとトランプをしているのだから。
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田嶋が何とか被害をすこしでも食い止めようと必死の対策をとっている最中。
中国の建設責任者が言う。
「田嶋さんご苦労様。でも、これはチャンスだ。この惨事の責任はすべて趙大連市長にあることにしよう。田嶋さんもそう主張してくれ。」
原発事故大火災がおきている時にまで、出世の道を切り開こうとする。タメ息がでる場面だ。
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| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑