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真山仁    「ベイジン」(上)(幻冬舎文庫)

 中国が威信をかけた北京オリンピック。その開会式にあわせ、中国が造った世界最大の原子力発電所の運転開始が行われそれが中継される。

 その発電所の技術顧問として派遣された田嶋。中国の国民性、共産主義国家の一党体制に揺れ動きながら、開会式の原子力発電が稼働できるかを描く物語。

 発電所建設中に嵐で、労働者宿泊施設が倒壊し、多くの労働者が倒壊した建屋の下敷きとなる。そこで田嶋は先頭にたち、労働者の救出にあたる。田嶋が中国の建設責任者に言う。
「大至急医療団と負傷者帆走のためのヘリの手配をお願いします。」
「それよりあなたは、被害状況をまとめてください。」
「承知しました。ですが、まずは人命救助にご協力ください。」
「それはあなたの仕事ではない。優先順位を間違わないでほしい。」
「人命救助に勝る優先事項はありませんよ。」
「原子力発電所建設は国家をあげた大事業なんです。労働者のかわりはいくらでもいます。」
「何を言ってるんです。彼らがいなければ、明日から誰が工事をするんですか。」
「別の労働者がするだけだ。」
もし原発が爆発事故を起こすと、100万人以上の人々が死ぬ。
「14億人のうちのたった100万人ですよ。大した問題ではない。」
中国は汚職天国と指摘すると、汚職は中国の文化だと言う。

中国習近平指導部は「虎もハエもたたく」と称してこの5年間汚職摘発を実施してきた。
しかし摘発は、権力志向の強い人間を追い落とすために、汚職という汚名をくっつけただけ。だからいくら摘発しても、その代わりの人間がでてくる。

 まさに汚職は文化なのである。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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