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真山仁    「黙示」(新潮文庫)

 社会派作家の雄が、今回は農業問題に挑戦する。それにしても、いつも思うが真山の調査と問題を追及する姿勢は徹底している。

 全国的なCMとは思わないが、私の住んでいる地方で「808ファクトリー」という会社のCMがしばしばテレビに登場する。この会社、野菜を工場で製造販売している。

 この物語でも、長野県の原村というところで展開されている野菜工場が登場する。
そこは、ほうれんそう畑に土がない。

 発砲スチロール版が敷かれていて、その発砲スチロールを取り除くと水路がある。その水路にほうれん草の苗が植えられている。発泡スチロールには穴があけられていてその穴から葉が伸びている。発泡スチロールの下には水路があり、水と養分が流れている。野菜は水と養分と日光があれば育つのである。養分は化学肥料を用いるが、安全のために出荷前は水だけを流す。
 つまり農業にはその基盤となる土がいらないのだ。土の質に関係なくどこでも野菜が作れるということだ。

 以前はキャベツやレタスのような、巻物ができなかったが、今はそれも克服してできるようになったそうだ。

 面白いと思ったのは、この新しい方式の野菜栽培を推進しているのは農林水産省ではなく経済産業省であるところ。栽培は工場、工場の所管が経済産業省だからだ。

 食糧確保は今はグローバルで大きな問題となっている。農林水産省はJAの圧力で、どうしても生産者を守る、食の安全を守るということが政策となり、グローバル対応に保守的であり、時々不要論まででる。

 この問題に、遺伝子組み換え野菜がかぶさる。その旗振り推進役はアメリカの大企業。日本の政治家に金をばらまき、遺伝子組み換え野菜の導入に圧力をかける。

 農林水産省は食の安全ということで、この圧力に対抗しようとするが、姿勢がいかにも保守的に見え、旗色が悪い。あーあアメリカのために、日本が食い荒らされる。そして、日本の利権政治家の懐だけが、膨らむ。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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