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真梨幸子    「私が失敗した理由は」(講談社文庫)

 真梨さんは「孤虫症」でメフィスト賞を受賞し小説家としてデビューする。しかしその後鳴かず飛ばずで、小説家にはなれないのではという絶望的な日々を送った。スーパーやいろんな職場をパートとして渡り歩く。一時期はどん底に陥り生活保護も考えたようだ。

 この作品は、間違いなくその時代の経験を背景にしている。
その時の気持ちを物語でもユーモアを持って書いている。

大手出版社グローヴ社の三上が繰り返し編集長に出版企画書を提出し、却下され続けされてしまう。企画は全部アンソロジー。13回目の企画書の著者の名前に「長谷部麻実」という名前がある。編集長が知らない名前だ。それは誰だと三上に編集長が問う。

「ああ。長谷部麻実というのは、真梨幸子の本名です。なんでも、真梨幸子ではもう先が見えないので、先ごろ、改名したんだそうです。」
 この作品で、ネットに書評をあげている美華子が「孤虫症」を読んで書評を書いています。
「・・・こんなひどい小説は初めてです。
生まれて初めて、壁に本を投げました。
とにかくどこを取ってもひどい。こんな小説がよく本になったものだ、こんな小説が出版される日本そのものに幻滅です。日本、死ね・・・とつい、八つ当たりしたくなります。」

 余程、底辺を歩んだ時代がトラウマになっているのだ。真梨さんは。

物語は、東京郊外の田喜沢市一家4人殺害事件を巡って、この事件に関心を持った人間や家族が次々殺害される事件と人間模様を描く。

 真梨さんらしいと思ったのは、事件が起きた21時、被疑者はコンビニに買い物に行っていたと主張する。その時コンビニの時計は22時になっていた。だから被疑者のアリバイは成立しない。ところがこの時計が狂っていた。普通その場合時計は1時間進んでいたとなるのだが、真梨さんは時計は遅れるのが常で、それが積み重なって11時間遅れていたと表現する。

どうでもいいけど真 梨さんはやっぱしイヤミス女王だ。魅力的変人だと思った。
 作品もじわーっと冷や汗がおちそうな見事な最後だった。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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