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辺見庸    「ハノイ挽歌」(文春文庫)

 ベトナム戦争が終わって約10年後、ハノイを中心に1年余のベトナム滞在記。

ベトナムは確かにアメリカに勝利したが、民間人を含めたベトナム人の犠牲者は800万人(南ベトナム側含む)一方アメリカ側は5万8000人で、けた違いにベトナム人犠牲者が多い。とてもベトナムが勝利したと思える状態ではなかった。戦争終了後10年間ベトナムは貧乏だった。そのころはボートピープル、ベトナム脱出難民が大きな問題になっていた。
 辺見はホテルの部屋で、魔法瓶を倒し、二週間遅れの日本新聞にお湯をぶちまけてしまう。

「ドラゴンクエストⅣ発売に1万人の長蛇の列」という記事が掲載されていた。その濡れた32ページの新聞を屑籠にいれた。

 翌朝、ホテルの庭に捨てた新聞が4隅に小石がおかれて並べられていた。何をしているのかと聞くと、アルバイトのメイドが新聞紙を乾かして、包装紙として売るのだと言う。

 そういえば、辺見の書き損じた原稿用紙もメイドが小さく四角に切り、厚紙に挟んでメモ帳として裏紙を使っていた。
 市場で、モヤシを300グラム買ったら、バナナの葉で包んで、稲わらの紐で縛ってくれた。

ハノイの大学で聞かれた。
「燃えないゴミとは何だ」と。説明してあげる。聞いたベトナム人が「それはゴミではない」と怒る。まあ、一応リサイクルされる資源ゴミではあるが。

 思い出す。童謡に「良い子が住んでる良い街は」。この歌を歌っていた頃、街は良い街では無かった。そんな街になったらいいなという願いの歌だった。

 今のベトナムの街は、童謡で歌った街そのものだと辺見は思う。

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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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