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矢作俊彦    「ロング・グッドバイ」(角川文庫)

 かのチャンドラーの名作「長いお別れ」のオマージュ作品。チャンドラーはLONGだけどこちらはWRONG。

 主人公の神奈川県警二村刑事は、殺人事件の重要参考人だったビリー・ルウの失踪に関わったとされ、閑職に左遷される。そんな時、昔同僚だった先輩刑事から、国際的ヴァイオリニストの養母である行方不明の平岡玲子の捜索を依頼される。

 物語はビリー・ルウの失踪と平岡玲子の失踪がベトナム戦争と米軍基地を接着剤にして行われたことがわかる。ハードボイルドというよりミステリーの要素が強い。ただし登場人物の語り口はスノッブでハードボイルドだ。

 ゴーン逃亡でクローズアップしたプライベートジェット機。大金持ちが所有して世界を駆けまわるためにあるものだと認識していたが、実はゴーンがジェット機を所有しているのではなく、ジェット機の所有する飛行会社は別にある。

 この作品を読むと、表にはだせない金のやりとりというのは、振り込みや小切手など銀行経由では足がつくため、すべて現金で直接行う。その現金を運ぶのにつかわれるのがプライベートジェット機だということを知った。

 アジアの新興国では、国起こしに、工業団地を造成して、海外工場を有利な条件で誘致するプロジェクトが盛んである。こういうビックプロジェクトには、新興国の権力者が群がる。

 権力者は、でかい財布の口を開けて、お金が入ってくるのを待っている。この裏金を運ぶためにプライベート・ジェット機が使われる。

 それから、米軍基地では、公害の危険などには関心が無いため、汚染水は垂れ流され、基地の土壌に堆積する。

 この土壌処理に活躍する会社がでてくる。物語では、ベトナムの工場団地造成に伴い汚染土壌を運び込み、造成地に埋めてしまうということがその会社で行われる。ついでに、ベトナム戦争で米軍が大量に散布した枯葉剤により汚染された土も埋め立てに使う。

 こういう裏家業の会社は、どんな脱法行為でも合法にさせてしまうノウハウを持っており、それにより大儲けをする。

 日本のIR誘致というのも、実現に向かって動きだすと、プライベートジェット機や、現金運び人が跋扈するのだろう。そういえばIRで暗躍していた代議士も香港へはプライベートジェットを使っていた。

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| 古本読書日記 | 06:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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