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柚木麻子    「BUTTER」(新潮文庫)

 直木賞候補にもなり、新文各紙や評論家から絶賛された作品。
2009年、木嶋佳苗が起こしたとされる連続不信死事件をモチーフにしている。この事件の特徴は、財産や金を持っている中高年の男たちに結婚をエサに近付き、金と財産を奪いその後男を殺害するというもの。

 この事件で世間が驚いたのは、木嶋佳苗の写真がマスコミによって公開されたとき、木嶋の姿が、異常に太っていて、顔もしわだらけでこの女性と結婚までしたいという気持ちを起こさせることが信じられないということだった。

 この物語では木嶋は梶井真奈子という名前で登場する。

3件の変死事件が起こるのだが、その事件の傍らに全部梶井が存在していたということで、検察は梶井が殺人を起こしたと断定、しかし法廷では梶井は殺人を否認する。

 梶井はどんな人生を歩んできて、どうして結婚詐欺、果ては殺人まで行うようになったのか、マスコミは梶井に何とか刑務所で面会して、直接聞き出そうとしたのだが、面会を梶井はすべて拒否する。

 主人公の「週刊秀明」記者の町田里奈は大学時代からの親友玲子のアドバイス、梶井はフランス料理に異常に興味があり、セレブを対象にした高級フランス料理教室サロン・ド・ミユコに会員として参加している。料理を切り口に面会申し込みすればとのアドバイスに従って、梶井に手紙を書き、梶井井から面会の許諾を得る。そして、梶井から、梶井の故郷新潟で梶井の幼友達や家族を紹介してもらい面談にこぎつける。

 梶井がフレンチ料理や、衣装や装身具が超高級品ばかりを身に着けるセレブ生活を謳歌し、どのような手口で中老の資産を詐取していたかが明らかにされてゆくと思ったら、この新潟行きあたりから、物語が柚木の独特の想像物語になってゆく。多分料理に凝ったあたりまでは、実際の木嶋事件と相違はあまりなかったように思えた。

 柚木の想像が非現実すぎてだんだん付いて行けなくなった。特にそれはないだろうと思ったのが、新潟に一緒にでかけた親友玲子が、失踪して、何と家庭を捨てて、3件目の事件が起きた時、梶井と同棲していた横田のところにやってきて、一緒に暮らしたいと要望するところ。

 玲子にも、里奈にも暗い過去がそこから語られ、そのために梶井にだんだんとりこまれてゆく。
 考えられないことではないが、それはないよとどうしても思ってしまう。ここが素晴らしい想像と評価する人々やマスコミが絶賛したところだろう。

 私はあり得ないと思い、少し距離をおいて読み進んだ。
なお現実の被告木嶋は死刑判決が確定している。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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