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有栖川有栖  「濱地健三郎の霊なる事件簿」(角川文庫)

 有栖川有栖と言えば名探偵火村英生や江神二郎の名探偵に作者と同盟の有栖川有栖という作家をワトソン役にしたてたシリーズ作品で有名だ。

 そこに探偵濱地健三郎が新たに登場。ワトソン役には興信所勤務経験のある女性志摩ユリエを配する。

 濱地健三郎は通常の探偵とは異なる大きな特徴を持っている。被害者の亡霊が見えるのだ。亡霊が殺害者にとりつく場面が見える。
ということは、難しい推理を駆使しなくても犯人はだれかがわかる。何か有栖川、推理ネタが浮かんでこなくなったのか、楽な道を選びだしたような思いが読む前からする。

 この本はそんな濱地が活躍する7つの作品が収録されている。

 心霊探偵濱地の物語の特徴がよくでているのが2作目の「黒々とした孔」。

 主人公の熊取寿豊は大手熊取不動産会社の甘えん坊息子。眠ろうとしてベッド脇の壁をみると百円玉くらいの黒い穴が見える。じっと見ているとそれが黒くコーヒーの受け皿くらいにまで拡大する。そこに目を合わせず九九をとなえると七X六 四十二になった時壁に眼をやるとその黒い穴は消えている。

 海から首なし死体が引き上げられる。鑑定により被害者は駒井鈴奈と判明する。駒井はフリーの記者で、寿豊の母である大女優那珂咲恵の大スキャンダルを追っている。それで、寿豊のもとにも取材でしつこくやってくる。そのスキャンダルが公になると、寿豊の贅沢三昧の生活も崩壊する。

 その崩壊を恐れて寿豊は駒井を殺害する。
駒井のマンションが火災にあう。しかし駒井の遺体はでてこない。火元はトイレ。不思議な場所である。

 そして、寿豊と濱地の対決となる。寿豊の後ろには鈴奈の亡霊がとりついていて、濱地にはすでに寿豊が犯人とわかっている。

 濱地が言う。
「首無し死体。首が無いということは頭を殴打したか顔を破壊したかどちらかで殺害した。しかも殺害場所はトイレ内。殺害はピストルによる殺害。殺害場所はトイレ。硝煙反応を隠すためにトイレを焼く。」
言い当てられたため、寿豊はうろたえる。しかし、切り落とした顔もピストルも山奥に埋めてある。証拠が無い。だから体勢を整えて「証拠が無いじゃないか」とはねかえす。

 すると濱地が言う。
「証拠はあるじゃないか。目の前にある黒い壁の穴。それがピストルの弾痕と一致しているよ。」と。

 それは濱地と寿豊にしか見えない孔。それでも寿豊はがっくりと肩をおとす。
これがホラーとミステリーが結合した作品。なかなか面白いけど、手抜きに思えないこともない。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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