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藤沢周平   「凶刃 用心棒日月抄四」(新潮文庫)

 用心棒日月抄の最終シリーズ作品。前の3巻は、連作短編集の形となっていたが、最終版である本作品は400ページ以上の長編となっている。

 さらにこの作品では主人公青江又八郎がそれまでは藩の密命をおび、表向き脱藩し浪人となって江戸に向かうが、前作から16年たっており、又八郎は近習頭取となっていて、江戸詰めの近習頭取小塚が病気のため、彼が回復するまでの期間6か月間江戸に代わりに行くという役目を持っての派遣である。

 物語は、全編江戸の影用人組嗅足組のリーダー谷口佐知と又八郎の恋と、この嗅足組の解散物語になっているように思われるが、本質は異なっている。それに引っ張られると何の物語かわからなくなる。

 3つ重要な鍵がある。又八郎の剣術のライバルで友人の河井甚之丞と牧与之助の役割。
 
 それから、藩領地の隣に幕府直轄の天領があり、そこの境が不明確になったままになっている。幕府はその天領を大がかりの新田開発を目論む。そのため、隠密に行商人を装い藩に忍ばせ、勝手に領地を確定させるため測量地図を作製させる。その隠密の行動が怪しいことに氣づき、藩の武士が隠密を殺害してしまう事件が起きる。

 更に、藩主壱岐守の側室お卯乃の出自が幕府旗本久保の娘になっているが、実は出自不明の捨て子ではないかと疑われる。これは藩として絶対秘密にしておかねばならない。このことを巡って毒殺を含めて多くの関係者が殺害される。

 これらが緊張感をよびおこし、その殺害の黒幕が友人牧与之助、この又八郎と与之助の最後の対決はすさまじい。

 これに、又八郎と佐知の悲恋が背景として流れ、味わい深い作品となっている。

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| 古本読書日記 | 07:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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