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虚淵玄・円城塔・辻村深月・他 「神林長平トリビュート」(ハヤカワ文庫) 

 SF第三世代作家として一部に神的存在になっている神林長平を尊敬する作家たちが、神林の代表的作品を選び、独自に想像力を拡げ、描いた作品集。本来なら、神林に最も作風が近く、神林を尊敬していた伊藤計劃が、このアンソロジーに参加する予定だったが、執筆中に急逝して、作品を提供できなかった。そこは、非常に残念。

 どの作品もSF的造語が飛び交い、難解。その中で、元長柾木の「我語りて世界あり」が琴線に触れた。

 主人公の高校生殲戮佳(せりか、SF作品は、登場人物の命名も難解。それが一層平凡な読者にはとっつきにくくなる)が、友達2人とともにコーヒーショップに行く。

 ここで、あたり構わず声をあげておしゃべりをする。
 するとそこに40歳くらいの白人が近寄ってきて、「まわりの人が迷惑するから、声をもう少し落としてくれないか。」とお願いする。
 3人はこの白人に対し「うざい」と思い、無視しておしゃべりを続ける。

 白人は再度お願いする。すると、殲戮佳は友達2人を帰し、白人と2人で対決する。なかなか白人を倒せなかったが、殲戮佳を支援する西村からウージー(うざいからきた薬品名という、破壊力が嵩じる薬品を投入してもらい、白人を破壊する。

 実は、殲戮佳は微分機構という組織に志願した兵。この機構は、個人の欲求や要望を守り、高めるための組織。これに対し、白人は尊厳プロジェクトに参加している。尊厳プロジェクトは公共を主張。他人との共生を大切としたプロジェクト。

 そして、世界や日本は、微分機構と尊厳プロジェクトの戦いの場になっていて、圧倒的に微分機構が強くなっていた。物語を読むと、人間は助け合いとか相互扶助という資質は本能的に薄く、個人や力の強い者が支配する世界を本能的に求めているように思われる。

 アメリカや中国など、確かに世界の潮流は微分機構の考えや行動に流れている。少し恐怖を感じる。

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| 古本読書日記 | 06:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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