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クラフト・エヴィング商會プレゼンツ 「猫」(中公文庫)

 昭和29年に発刊された、小説家、エッセイストたちが猫について書いたエッセイ本の復刻版。

 科学者でエッセイストの寺田寅彦が不思議に思うのは猫のしっぽ。なんの役にもたたないのに、なんであんなものが猫にあるのか。邪魔でしょうがないのではないかとエッセイで書く。

 それを読んだ谷崎潤一郎は、寺田と異なり、あのしっぽが欲しいと強く願っている。猫が座布団に座り、半目をあけながら眠っている。そんな時猫に声をかける。

 いい気持ちで眠ろうとしているのに、うるさい奴だと思う。一鳴きするのは面倒。しかし何もしないのは不愛想。それで、尻尾を振ってこたえてあげる。

 妻が、小説執筆中に部屋にはいってきて、何かいいつける。うるさい、忙しいんだなんて言って反応すると、妻からまた文句がかえってきてちょっとギスギスした雰囲気になり、気まずくなり後に引く。

 そんな時に、猫のようにしっぽがあって、しっぽを振ってうるさいよと応える。そんなことができたら平和なのに。本当にしっぽがあったらと思う。

 谷崎は他人との面会、面談が嫌い。編集者と自分の書いている作品について打ち合わせをするのは仕方ないとして、特に用向きも無いのにやってきた客に対応するのが辛い。

 先方の話に最初は「はい」とか「ええ」とか適当な相づちを打っているが、その間は全然違うことを考えている。

 そんな時、谷崎には自分のしっぽが相づちを打っている姿がうかんでくる。
だから、谷崎は猫のしっぽが欲しいと熱望する。

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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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