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横山秀夫    「第三の時効」(集英社文庫)

 名作名高い作品。未読だったので手に取った。

今は殺人事件は時効がなくなったが、この作品はまだ時効が存在している時代に書かれている。当時の時効は15年。

 15年前、タクシー運転手が刃物で刺され殺害される。犯人は電器屋の竹内。竹内が電気修理に運転手の家を訪ねてきたとき、運転手の妻ゆき絵を襲い強姦する。その現場に帰ってきた運転手が遭遇。しかも、ゆき絵はその時妊娠して、娘のありさを身ごもった。

 怒った運転手が金属バットで竹内に襲い掛かったとき、竹内が持っていたナイフで運転手を刺し殺した。

 竹内はその場から逃走。そこから15年たった今も行方はわからず逃走している。捜査第2係、キャップの楠見や刑事の森たちが、ゆき絵の家に竹内から電話があるのではと最後の望みをかけてつめている。

 無情にも、午前0時になり時効となる。しかしこれは第一の時効。実は、竹内は逃走中海外に1週間行っていたため、時効は1週間後となる。これが第二の時効。

 楠見はかっては公安に所属。大きな失敗をおかし、事務職に回され、何故か捜査第2係に異動してきた変わり種。部下を人間扱いせずに、森をはじめ全員から嫌われていた。

 更に3年前、竹内がゆき絵のところに電話をしてきた。このことは当然署内では秘密となっていた。それが、マスコミにばれ、大騒ぎとなった。誰もが楠見がマスコミにしゃべったと思った。

 この楠見が森に理解不能の指示をだす。地裁の判事の普段の行動を細かく調べ報告すること。このさらっとした一行が、最後に抜群の効果をひきおこす。

 実は1週間がすぎ,第二の時効も成立。これで完全に時効となったわけで、ゆき絵の家につめていた捜査陣も撤収しようとする。すると楠見は捜査続行、撤収不要と部下に命じる。

 そこに時効成立ということで、竹内からゆき絵に電話がはいる。かけてきた公衆電話をつきとめ竹内を補足する。逃げようとする竹内が激しく警棒で打ちたたかれる。

 思わず、ゆき絵が叫ぶ。
「やめて!実は運転手を殺したのは私」と。

 ゆき絵は、殺害していたとしても、すでに時効は成立。犯行を自白したのではなく、述懐しただけ。

 そこで楠見が登場。実は、楠見は時効直前に竹内ではなく犯人はゆき絵として地検に被疑者不在のまま告訴、さらに地裁もその公訴を受理するというとんでもない策謀を行っていた。第三の時効だ。

 面白い。楠見が地裁判事たちの行状を調べさせていたというところが実にうまい。横山の作品の創りのうまさに感心しきりだ。

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| 古本読書日記 | 06:42 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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