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和田宏   「司馬遼太郎という人」(文春新書)

 著者の和田宏は、文芸春秋社で編集者として30年司馬遼太郎を担当した。彼の見た司馬遼太郎を綴った作品。

 司馬遼太郎が今の上皇が皇太子時代に御進講をしたことがあった。御進講とは、天皇は皇太子に、専門学問を御講義することである。

 司馬遼太郎はトイレが近く、御進講途中でトイレに行きたくなる。ところが御進講をしている東宮御所が大きくてトイレの場所がわからない。また、彼は方向音痴で一回トイレに行っただけではその場所を覚えられない。
 だからトイレに立つ都度、前の天皇がつきそってくれたそうだ。

この作品を読んで、司馬に惚れ直した。すばらしい人である。

 司馬は、だんだん地位があがってゆくたびに、そっくりかえるようになる人を極端に忌み嫌う。会話をしているときは、司馬は悪印象を与えてはならないと気をつかうが、一旦離れると、二度とその人には会わないようにする。

 接待、会食も極端に嫌う。
というのは、面白いのだが、司馬は酒は殆ど飲めないし、魚介類は受け付けない。寿司、刺身は食べず、肉類もあまり好まず、そして小食である。

 「街道を行く」シリーズで長期間取材に同道した画家の須田剋太さんが嘆く。
「司馬さんはずいぶん偏食の人で、鶏でも魚でも全然食べない。食べるものといったら、トンカツかソバぐらいなもので、それも少ししか食べない。・・・天才は少ししか食べないんですかね。腹がへってしょうがなかった。」と完全にサジを投げている。

 長年、「司馬さんを囲む会」というのが、出版関係者と司馬さんの間で行われている。この作品には、会費や会場までの交通費は自費としているが、出版社がもっているのが多いと思う。

 驚くのは。会費から足が出た費用はすべて司馬が払っている。

作家は売れ出すと、出版社に寄りかかり、横柄になったり、いろんな費用は出版社持ちという場合が殆ど。だから司馬のクリーンな態度が際立ってすがすがしい。

 それにしても「坂の上の雲」4巻から初版の数が20万部だったそうである。一般の初版数は3000部程度。流行作家でも1万部。それでも殆ど再販されず、消え去ってゆく。
 20万部とは、強烈である。

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| 古本読書日記 | 06:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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