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中山七里    「翼がなくても」(双葉文庫)

 主人公の沙良は、陸上200mで日本歴代9位の記録を持ち、オリンピック出場も視野にはいっているアスリート。

 その沙良が交通事故にまきこまれ左足をつぶされ、手術でその左足を切断してしまう。車を運転していたのは、隣家の幼馴染相良泰輔。小学校時代は毎日2人で学校に通った。

 泰輔が変わったのは中学3年の時、父親が自殺してから。そこから、泰輔は引きこもり、友達もなく、学校にも行かなくなる。実は泰輔は無免許だった。

 この物語で知って驚いた。危険運転致死傷罪は、飲酒運転、危険運転、未熟運転によって引き起こされた場合適用される。その罪は従来より重く、人を傷つけた場合は最高で15年以下の懲役、死亡させた場合は最長20年以下の懲役になる。

 泰輔の場合は無免許であっても、日ごろ車を乗り回しており。未熟運転は適用されず、過失致死罪となり7年以下の懲役。場合によっては執行猶予もつく。泰輔も実刑にはあっていない。免許を有するか否かは罪の軽重とは直接関係ないからである。

 物語は、事故を起こした泰輔が殺される。その真相を追求する捜査過程と、足を失った沙良がパラリンピック陸上200mに活路を見出し、取り組む過程が平行して進む。

 沙良を世界有数の義肢装具士でありスポーツインストラクターでもあるデビッドと彼がバックアップしている東大生産技術研究所がバックアップする。

 デビッドはアスリート用の沙良専用の義足をつくる。生産技術研究所は科学的トレーニングを沙良のために開発し、練習、実戦をサポートする。

 私たちは眼鏡をかけている人を異常な人とは思わない。通常の人として受け入れる。視力に欠陥があるにも係わらず。

 この物語を読んでいると、手足を失い、義手、義足になっても、普通の手足のように義手、義足を使い、人々の中に溶け込んでしまう世界がそこまでやってきているような気持ちになる。

 それどころか。科学や機械技術の進化により、障害を持つ人のほうが、健常者を凌ぐ記録を打ち立てるのではという予感を起こしてしまう。

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| 古本読書日記 | 06:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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