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今野敏    「臥龍 横浜みなとみらい署暴対係」(徳間文庫)

警察小説では、署内の組織を描くのに、光が当たり、活躍する課として描かれるのが、捜査一課。殺人などの強行事件を捜査解決する課だ。これに対し、問題のある課として描かれるのが暴対係。暴対法に従って、暴力団の動きを監視して、未然に暴力団の危険な行動を防ぐ係である。

 この暴対係は、暴力団と常に接しているので、団員やその幹部と癒着してしまう。以前は暴力団が自分のしまの商売している店や飲食店からみかじめ料をもらっていたのだが、今は暴対刑事から店や飲食店から暴力団追放協力金という名目でお金をむしりとられる。暴力団は自分たちの犯す罪を消すために、女性を刑事にあてがったりする。暴対部刑事の行動が、市民を守るより、暴力団の味方をしているような行動になる。

 こんな物語が多く、暴対刑事こそ悪の根源なのではと読者に思わせてしまう。

この物語は、通常の物語と逆になって、暴対係から、署のエース、捜査一課の問題を抉り出す。

 捜査一課の弱点は、事件捜査現場から集めた情報をもとに、課長や署長が事件を見立て捜査方針、方法を決定、これに担当刑事が反論できないところにある。

 容疑者を特定して、徹底的に容疑者の周辺や関係者を捜査しろとか容疑者を引っ張ってきて自白させろという指示をしばしばする。

 これで間違っていることが起きる。ごくまれに、裁判の過程で、その間違いが暴かれ、無罪ということになるが、日本では、犯人として逮捕され、検察も受理起訴されれば、99.9%有罪となり無実であっても刑に服することになる。

 物語は、上の見立てが間違っていると思っていても、反論ができない組織体制とその捜査過程に対し、立ちはだかる、暴対係を描く。

 それにしても今はどうなんだろう。特殊詐欺も増加していて、その後ろには暴力団もあるだろうから、暴力団の活動も活発なのかもしれないが、暴対法施行以前に比べれば、暴力団は表面から消え、あまり話題に上らなくなった。それでも、今野が主要テーマにしている、暴力団、マフィアの物語は売れているのだろうか。

 読んでいて、何か焦点がずれているのではという思いがして仕方なかった。

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| 古本読書日記 | 06:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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