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司馬遼太郎    「項羽と劉邦」(下)(新潮文庫)

 項羽と劉邦は最後の決戦の場、広武山の決戦に至る。広武山には2つの峰がある。その峰を2つの軍が占拠し対峙する。結果、項羽軍は北からの韓信軍と南からの劉邦軍にはさまれることになる。劉邦軍は、肥沃な土地で農民を大切にするため糧食は十分以上に確保されているが、項羽軍には食料が圧倒的に不足。兵士は日々やつれてゆく。餓死するものもでるし、雪崩をうつように劉邦軍に投降し、項羽軍の勢力は衰微してゆく。

 項羽は虞姫を抱いて熟睡する。
深夜目覚める。遠くで風が揺らしている樹木の音がする。樹木かと思ったら歌声である。項羽軍の兵は楚国からの出身者が殆ど。歌は楚の歌である。陣中から発せられていると思ってよく聴くと、それは陣の外から発せられている。劉邦軍も楚人が多いし、項羽軍から投降した楚人も多い。完全に項羽は味方であるはずの楚人により包囲されていたのである。

 この戦いから来たのだ。四面楚歌という熟語は。

 項羽はその夜、みんなを集め最後の酒宴をする。そして、翌朝二十八騎を引き連れ、敵陣を突破する。その間二騎は失うが、二十六騎で劉邦軍をつきぬけ疾駆する。

 劉邦に負けたということにしたくはなかった。天に滅ぼされたということにしたかった。突き抜け、劉邦軍の陣からはるかに離れて、項羽は自らの首をはねた。

 司馬は、この作品で、独裁者はいずれ行き詰まり滅亡する。世のリーダーたるもの、圧倒的多数をしめる、中間層や弱者に足場をおきその視点から、政を行わねばならないということを説いているように思える。

 自由、公平、民主主義がその基盤となる。しかし、最近は国の中を分断したリーダーが登場、独裁色の強い国ばかりになった。旗幟鮮明のリーダーをかつぐほうがわかりやすく支持を得るようになった。リベラルとか民主勢力というのは、共生など言葉の聞こえは良いが、何をしたいのかよくわからない。なかなか劉邦のようなリーダーは現代では誕生しにくい。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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