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司馬遼太郎    「坂の上の雲八」(文春文庫)

 日露戦争で日本勝利を決めた、日本海決戦にてバルチック艦隊を打ち破る過程を中心に描かれる。

 司馬は、もしこの戦争に敗れていたら、どうなったかを書いている。

「この当時、日本政府は日本の歴史のなかでもっとも外交力に富んだ政府であったために、恐らく列強の均衡力学を利用して、かならずしも全土がロシア領にならないにしても、最小限にかんがえて対馬島と艦隊基地の佐世保はロシアの租借地になり、そして北海道全土と千島列島はロシア領土になるであろうということは、この当時の国際政治の慣例から見ても極めて高い確率を持っていた。」
 更に、「満州はそのままロシアの領土になり、朝鮮の宗主国は中国からロシアとなり、馬山,元山、釜山は租借地になり、仁川付近にロシア総督府がおかれることになっただろう」と司馬は書く。

 私は更にこれに加えて、ロシア社会主義革命は遅れるか、実現しなかったのではないかと思う。

 しかし、日露戦争は日本の歴史においてどんな価値があるのだろう。司馬のこの作品は本当に力作だと思うが、その価値は現在からみるとあまり無かったのではと思う。

 それはやはり第2次大戦の大敗北があったからだ。第2次大戦では、出兵した兵隊の73%以上が戦死した。

 日露戦争では、国民も兵士も日本国のために戦うという意志で統一されていた。その点がロシアと異なった。この当時明治天皇のために戦うという気持ちは日本人の中では薄かった。

 それが日露戦争から大正、昭和になり天皇第一となる神秘主義国家となり、国より天皇に命をささげるというロシアの専制君主体制のような国になってしまった。

 日露戦争の分析をきちんとしていれば、こんな神秘主義に陥らなかったと司馬は書く。

それにしても「坂の上の雲」全8巻は長かった。久しぶりに大長編を読み堪能はしたが疲れた。

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