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司馬遼太郎   「坂の上の雲七」(文春文庫)

 満州での決戦地奉天での戦いと、インド洋を経て、南シナ海を北上してくる当時世界最大の艦隊といわれたバルチック艦隊の航行を描く。

 奉天決戦のロシア総司令官はクロパトキン。この決戦で常に彼を苦しめたのが、旅順攻防戦で戦った乃木の部隊がどこにいるかということ。

 中国からの情報によると、乃木の部隊は、旅順戦勝利後、ウラジオストックまで行き、その後南進して、北よりロシア軍を攻めるという。

 そうなればロシア軍は上下挟み撃ちにあい、破壊されてしまう。更に、兵隊、武器の補給路である鉄道を爆破されると、補給ができなくなり窮地においこまれる。

 この幻影のために、戦力のかなりを南進してくると想像する乃木の部隊のために割く。結果正面から責め上げてくる日本軍に対応できなくなり後退を余儀なくされる。

 その乃木軍が突然、西方より現れる。それによりロシア軍は大混乱に陥る。ここでクロパトキンは奉天を捨て、隣の街、鉄道駅のある鉄嶺まで退却し、そこで体制を整えて、反撃をすることを決断実行する。

 この決断は戦略としては間違っていないが、奉天を明け渡すということに兵士の間でクロパトキンが敗戦を認めたという空気が広がり、兵士の士気は急速に衰える。

 司馬は違うと物語で言っているが、ロシアは革命前夜で、ロシア皇帝に身をささげ戦うという人たちは極端にすくなくなっていて、兵士のなかにも多くの皇帝専制に抵抗意識を持っている人がいた。いかに日本より戦力は勝っていても、蔓延する厭戦」気分。ここのところが、奉天決戦がぎりぎりながら日本勝利で決着した要因のように私は思う。

 事実、奉天から鉄嶺退却中にロシア兵2万人が投降してきた。

 奉天を日本が獲った後も、ロシア軍を追ってロシア軍を満州から外へだしてしまえという意見も多かった。しかし、日本も奉天獲得までが限界。武器も底をつき、新たな補充兵力は無かった。

 クロパトキンの幻想、迷い、ロシア皇帝がけっぷちに助けられた日本勝利だった。

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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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