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司馬遼太郎   「坂の上の雲二」(文春文庫)

 物語は、日清、日露戦争での秋山兄弟の活躍が軸になるのだが、この2巻では彼らの友人正岡子規のすごさが描かれているので紹介したい。

 俳句は、そのもととなった連句の最初の17文字をきりとったもので、当時松尾芭蕉はしられていたが、詩歌の世界ではあくまで支流で、芸術としての評価は低かった。それを子規が登場して芸術的評価をたかめ、芸術としての地位を確立した。

 子規が発掘した俳人に与謝蕪村がいる。

 子規は芭蕉の次の有名な句を高く評価していた。
  五月雨を集めてはやし最上川

 名句と評価はしていたのだが、「集めて」という言葉が巧みすぎて面白くなくなっている。巧みすぎることに臭味を強くかんじ、技巧過ぎていやな句になる。

 同じ五月雨をよんだ句ならば、圧倒的に蕪村の次の句がすばらしい。
  五月雨や大河を前に家2軒

このほうがはるかに絵画的実感がある。刻々と増水してゆく大河という自然の威力をことさらに強調していうことなく、ほんの一筆のあわい墨絵の情景にしてしまい、しかもそこに家2軒がそこはかとなくたたずむ。その心もたなさを見事に表現している。

 俳句における言葉遊びや技巧を嫌い、写生写実をもって俳句を作るという主張を確立実践している。
 なるほどと思う。2つの句を繰り返し読めば読むほど、子規の評価が胸にしみ込んでくる。

この物語の最後に秋山真之は、アメリカに海軍について学ぶために留学をしている。驚くことに、軍艦にのり、キューバをめぐる米西戦争を見学。そこで、サンチャゴ湾の出入り口にアメリカ軍が自らの船を破壊して沈め、スペイン船を湾内に閉じ込める作戦をみる。

 これが後の日露戦争の戦術のヒントとなる。どのようにこの作戦を日露戦争で実践したか。三巻以降を手に取るのが楽しみになる。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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