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薬丸岳     「誓約」(幻冬舎文庫)

 この物語はいつもの薬丸のように罪と償いがテーマとなっている。特にこの作品は、事件の加害者は死刑にならない限り、社会にでてきて普通の暮らしができるのに、被害者にはなんの社会的救済がなされないというやりきれない問題を扱っている。

 物語はそんな深いテーマを、ホラーとサスペンスで全編を覆う。サスペンスの点でも一流の作品に仕上がっている。

 主人公の高藤文也は、生まれつき顔半分が痣で覆われていた。そのため、誰もよりつかず、孤独の生活、その辛さを暴力など暴れることで対処していた。そして26年前佐藤秀美という女性の家に侵入して、縛り上げ強姦しようとする。秀美はその後ショックで自殺する。

 実は文也は強姦していなくて、別の男が強姦していたのだが、状況からみてそんなことはとても言えず、刑務所にいれられる。

 文也は刑期を終え、ネットカフェを渡り歩いて生活していた。金も無くなり行き詰まって街を歩いていると、橋から飛び降りようとしているおばさんに会う。彼女を取り押さえて、そのまま彼女の自宅に行く。そして、彼女の自殺をしようとした原因を聞く。

 彼女の名前は坂本伸子。一人娘が2人の男に襲われ、強姦され殺されてしまう。犯人は近くに住む門倉と飯山という20歳の無職の男。

 2人は無期懲役の判決を受け刑に服す。しかし無期懲役というのはいつか出所する。

文也は、金もなくこれからの暮らしが成り立たない。すると伸子が全預金500万円をあげるから、門倉と飯山を出所したら殺してほしいと依頼する。実は伸子は、末期ガンにかかっていて余命わずかだった。ということは文也が殺しを実行しなくても、伸子にはわからないと思い、門倉、飯山の殺害を約束して500万円を受け取る。

 それから16年後、突然伸子から手紙が文也の元に届く。門倉と飯山が出所した。手紙には2人の住所が記載されていて、約束を実行してくださいと。

 それを放っておくと、電話がかかってきて何故約束を果たさない。もし実行しないのなら、文也の子供帆子の身の安全は無い。自分はすでに死んでいて魂だけになっているから、帆子をどのようにしても捕まることはないと。

 ここから節目、節目で死んだ伸子が登場して、文也を脅し続ける。恐怖感充分。
そして、最後考えつかないような見事な真相が明らかにされる。

 本当に薬丸の読者を引き付ける力は半端でない。

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| 古本読書日記 | 05:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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