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百田尚樹   「錨を上げよ二座礁篇」(幻冬舎文庫)

 同志社大学へ入った主人公作田(百田)は、ヨーロッパ文学研究会というサークルにはいる。私の大学でもそうだが、こういう人文系のサークルというのは、殆どが当時学生運動家たちの集まった集団だった。作田はもちろん学生運動を毛嫌いしている。しかし、そこには加納沢子という美女学生がいた。その沢子に惚れてしまったのだ。

 沢子は筋金いりの活動家で、作田に惚れるはずがない。しかし、沢子は、目が合うと微笑んでくれた、沢子も自分のことを想ってくれているに違いないと信じ込む。

 部室では、沢子や部長の浅川中心に社会矛盾、運動について議論が行われる。ある日、作田に意見が求められる。そこで、作田は感情をこめてそのあまっちょろい議論を粉砕否定する。沢子は「作田はさいてー」と言い返す。

 帰り際、作田は沢子に謝り、実は沢子が好きだと告白する。あきれ返った沢子は足早に消える。

 やはり作田(百田)も普通ではなく変わっている。これであきらめずに沢子に電話をする。
沢子は「私を女だと思ってバカにしているのね。」と強い声で言い電話をたたっきる。

 しかし、自分が愛する人間は当然自分を愛してくれているはずと思い込み、何回も書き直した末ラブレターを沢子にだす。当然、何日待っても返事が来ない。

 意を決して、行き辛くなっていた部室に行き沢子からの返事を直接もらおうとする。
部室にはいると、部員が驚愕し、たじろぐ。何とたじろいだ先に作田のラブレターがはりだされている。

 さすがにこれはもう無理と作田も思った。ところが2-3日すると、驚くことに沢子から手紙が来る。「明日1時に部室に待ってるから来てください。」と。

 瞬間私はこれは行かないほうがいいと思った。
私の大学時代、寮で同室の先輩が過激派の活動家だった。ある日、顔中血だらけになって帰ってきた。当時は、過激派同士の内ゲバで、他セクトの学生を殲滅するという名目で徹底暴力リンチが行われていた。それに先輩が被害者となったのだ。

 だから作田が沢子恋しさにでかけてゆくと、このリンチにあうとおもったから。
しかし、作田はでかけ、案の定リンチに遭い大けがをする。

 いつも不思議に思うのだが、この前おきた神戸での教師間のいじめ事件、当然刑事事件としていじめ教師は逮捕されるべきなのだが、事件として扱われない。学校で起きる事件は、殺人にもなれば別だが、けが程度では治外法権となり事件とされない。
 学校内では、いじめ、殴り放題。異常な世界がそこにある。

 作田は、高校は殆ど頭脳を必要としないレベルの商業高校にはいった。そこでも授業にでず、成績も最低クラスだった。その作田が3年生になり、大学へ行くと急に勉強をしだし、東大を目指すと豪語する。

 それでも滑り止めとして、同志社、立命館、関大、関学を受ける。当然全部受かると信じていたが、受かったのは同志社だけ。東大は当時は1次、2次と試験があった。1次を受け楽勝と思い、合格を待ったが通知は来ず。東大はおかしいのではと思う。

 恋も受験も自分は常に正しく、うまくいかないのは世の中に問題があるから。作田(百田)は今日も狂ったように思いのまま世の中を突き進む。

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| 古本読書日記 | 07:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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