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百田尚樹   「錨を上げよ一出航篇」(幻冬舎文庫)

 百田は「永遠の0」がデビュー作なのだが、その10年以上前に書かれ、屋根裏に保管していた作品があった。原稿枚数2000枚。さすがに、新人作家のこんな大長編を出版してくれる会社は無い。それで眠ってしまっていた作品が紹介作品である。講談社で出版した本を4冊に分冊して文庫で出版された。

 作品は多少フィクションもあるかもしれないが、百田の自伝となっている。テーマがあるわけでなく、思い出すままぐいぐい書いているので、文学作品としての評価は難しいが、百田を知るには恰好の本となっている。

 私が大学時代の1972年冬にあさま山荘事件が起きた。軽井沢にあった河合楽器の保養荘あさま山荘を革命集団連合赤軍が襲撃、管理人夫妻を人質にして11日間立て籠った事件だ。

 高校時代にこの事件に遭遇した物語の主人公作田又三(百田尚樹)は事件に釘付けになり毎日放映された中継をみていた。

 そしてこの事件に対し強烈に反応。現在の百田の思想の根源が形成された。
「ぼくがこの事件に異常なまでに怒りの感情を覚えたのは、この犯罪が正義と信じるもののために起こされた行動から生じたということにあった。そしてその正義とは、おそらく心から導き出されたものではなく、理論と理屈から導きだされたものだったからだ。科学や数学などを除いて、およそ人文的な分野における理論といったものほど嫌いなものはなかった。」

 この前にて、彼は言う。
自分の成功を二の次にして、他人や社会のために頑張るなどということがあるだろうか。もちろんわずかにはいるかもしれない。しかし、そんな人間になるためには、恐ろしい多くの困難や過酷な経験をして、人間変革を成し遂げねばならない。

 何不自由なく暮らし、ぬくぬくと育つ人間にそんなことが実現できるはずがない。

 世の中に起こる問題に、この強い信念で激しく反応する百田の破壊力はメガトン級だ。
 そしてこの強い信念は、自分はだれよりも優れている人間であるという人間像を百田の中に作りあげてゆく。

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| 古本読書日記 | 07:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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