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中山七里   「ワルツを踊ろう」(幻冬舎文庫)

 主人公の溝端了衛は外資系の金融会社に勤めていたが、リーマンショックで会社が人員削減を行い、その対象にされ退職。実家に一人で住んでいた唯一の家族父親も亡くなり、実家にでも帰ろうと思い20年ぶりに帰る。

 しかし、この実家のある村は、バス路線も廃止されたという限界集落。現在は7家族9人だけが暮らしている。

 田舎は閉鎖的。だから、まずは田舎に溶け込もうとしなければいけない。しかし、エリート意識の高い了衛は、溶け込むということは、自分が村をリードして、村の再生改革をすることだと思い込み行動する。これで、村から遊離、完全に村八分になる。

 どんなに村八分にされても、了衛の自分が正しいという思いは揺るがない。

了衛はブログで言う。
「本当にね、こういう所に住んでいるとわかるんですけど、田舎から都会に人が流れていく理由も、田舎がどこも限界集落になってしまう理由も同じなんです。要は、その地域が優れた人材を使いこなせないものだから、人が流出し、田舎は廃れてゆく。ただそれだけのことなんです。
 だいたい田舎というのはどこも第一次産業が主要産業になっていますよね。第一次産業というのは言い換えれば肉体労働です。早朝から夜遅くまでへとへとになるまで働く。屋根の無い場所で雨風にうたれ、強い日差しに灼かれながら身体を動かす。当然家に帰っても、飯食って風呂にはいったら、そのまま寝ちゃうんです。本を読む暇もない。だから、政治や経済や哲学についての知識もない。本を読まないから思考を巡らすことも纏めることもできない。唯々諾々、昨日も今日も明日も同じ仕事を繰り返すだけです。だから進歩も無ければ問題意識もない。毎日毎日不平不満はこぼすけど、能力も経験もないものだから自分からは決して動き出そうとはしません。そのくせ他人が新しいことをはじめると、いつ失敗するかと、期待に胸を膨らませている。」

 こんな思いが日々どんどん強くなってゆくと、結果は悲劇につながる。

物語はだいぶデフォルメして現実離れしているように思うが、14年前山口県周南市で、都会から帰ってきた男が、5人を連続殺害したことを思い出すと、ありうることなんだと少しぞっとする。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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