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江波戸哲夫    「集団左遷」(祥伝社文庫)

 この間新聞で、今年の企業の希望退職という名目の退職者が日本国内で1万人以上になったと報道されていた。1万人を超えるのは、バブル崩壊、リーマンショック後以来の出来事らしい。

 以前は不用人材は、机だけがある部屋、追い出し部屋なるところに集め、何の仕事も与えず、集められた人たちが耐えられなくなる環境にして退職するのを企業は待つような策を用いた。

 現在は、こんなことをやれば労働基本法に違反するし、そんなことをマスコミに報道されたら受けるダメージは甚大なものになるため、企業は新しい方法で退職に追い込もうとする。

 私が働いていた企業も、かっては機動隊部門を作り、そこに不用な人々を集めた。機動隊部門は、事務所に溜まるゴミを集め廃棄したり、清掃したり、ビルの外の木々や庭の手入れをする部門だった。

 しかし、今は特販部隊というところを作り、戸別訪問で販売する専用部隊に不用要員を集め、成績が上がらないと会社に残ることは難しいと圧力をかける。

 この部隊は、営業部門に属すが、販促用の商材はカタログくらいで、他は何にも与えられない。それで、たまに商売が成立すると、成績は営業部に付け替えられる。

 この物語の三有不動産の副社長横山は、退職前提の不用社員50名を集めて「首都圏特販部」という新設部門を作る。

 バブル崩壊で売れなくなった、ビルや土地、住宅などを販売する部門として立ち上げたということになっているが、実態は首切り人員用の部門である。別にこの不良在庫を処分販売する正式な部門はある。

 特販部は、チラシだけが販売用にあるだけで、例えば割引権限は、営業部門の部門長か横山副社長と交渉して決めることになっている。

 実は50人の部隊には横山副社長のスパイがいて、特販部の状況が逐一報告されている。
だから、商談が成立しそうになると、お客に破格な条件を提示して、特販部の成績につながらないようにする。

 驚いたのは三有不動産が造成販売している建売住宅の販売が成立すると、スパイに対象の物件に火をつけるよう指示し、またスパイも実行しようとする。

 この横山副社長、土地の買収造成のために、その街の有力者に対策費を払わねばならないのだが、このお金の殆どを自分の懐にいれる。すべてこういう類のお金は現金渡しで領収書もないからこんなことが可能になる。それが発覚して失脚する。

 まるで、どこかの電力会社をみているような錯覚が起きる。

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